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神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤・早川渓谷沿い標高130m、新宿から小田急ロマンスカー+箱根登山鉄道で約80分の場所に、江戸時代の温泉番付『諸国温泉功能鑑』に「相州塔の沢の湯」(東-前頭3段目)として登載された名湯があります ── 塔之沢温泉(とうのさわおんせん) です。
塔之沢温泉は、1605年(慶長10年)に浄土宗の遊行僧・弾誓上人(だんせいしょうにん)が弟子の眼病治療のために湯を発見したと伝えられる、約420年の歴史を持つ古湯。箱根七湯(湯本・塔之沢・宮ノ下・堂ヶ島・底倉・木賀・芦之湯)の中で湯本に次ぐ二番湯にあたり、江戸期には東海道の湯治場として、明治以降は 伊藤博文・夏目漱石・島崎藤村・福澤諭吉・川合玉堂 など多くの政治家・文人墨客に愛された 「文豪の湯」 として全国にその名を知られました。
この記事では、がやが一次史料と公式情報を読み解きながら、親記事「箱根温泉ガイド」の派生第2弾として「塔之沢」に特化した独自の歴史と魅力 を完全紹介します。箱根全体については親記事「箱根温泉ガイド」、湯本については第12号「箱根湯本温泉ガイド」もあわせてご覧ください。
📌 本記事は「一次史料統合ガイド」(塔之沢特化・箱根派生第2弾)です
がやは塔之沢温泉のホテル・旅館に宿泊した経験はまだありませんが、本記事は一次史料・箱根町観光協会・福住楼・元湯環翠楼・阿弥陀寺・箱根登山鉄道の公式情報を読み解いて執筆した完全ガイドです。
📑 目次
- 早川渓谷沿い標高130mの一軒宿温泉郷、塔之沢温泉とは
- 江戸の温泉番付に登載された「相州塔の沢の湯」
- 1605年弾誓上人開湯と阿弥陀寺の物語
- 箱根七湯の中の塔之沢 ── 1686年「箱根七湯」に正式編入
- 環翠楼(創業1614年・国登録有形文化財)── 伊藤博文命名の老舗
- 福住楼(1890年創業・2002年 国登録有形文化財)── 福澤諭吉から漱石まで
- 江戸期:東海道の二番湯・将軍家湯治の宿場
- 明治の鉄道整備と1888年箱根湯本駅開業 ── 塔ノ沢駅の登場
- 泉質 ── アルカリ性単純温泉 pH 8.9 の美肌の湯
- アクセス・施設情報
- 周辺観光 ─ 阿弥陀寺・出山鉄橋・弾誓上人の岩屋
- 訪問前に知っておきたい注意事項
- よくある質問(FAQ)
- まとめ・関連記事
📌 この記事で分かること
- 江戸の温泉番付『諸国温泉功能鑑』に「相州塔の沢の湯」(東-前頭3段目)として登載された塔之沢の歴史
- 1605年弾誓上人による開湯伝説と1604年阿弥陀寺再興の物語
- 箱根七湯における塔之沢の位置(湯本に次ぐ二番湯)
- 環翠楼(1614年〜・国登録有形文化財・伊藤博文命名)と福住楼(1890年〜・2002年国登録有形文化財)の老舗2軒の魅力
- 夏目漱石・島崎藤村・福澤諭吉・川合玉堂・伊藤博文・西園寺公望・孫文ほか文人政治家の足跡
- 新宿から塔ノ沢駅までのアクセス・周辺観光(阿弥陀寺・出山鉄橋・銭洗弁天)
早川渓谷沿い標高130mの一軒宿温泉郷、塔之沢温泉とは
塔之沢温泉は、箱根町塔ノ沢温泉組合に加盟する約8軒の旅館を中心とした、早川渓谷沿いに立ち並ぶ老舗旅館の温泉郷です。湯本の喧騒から離れ、深い渓谷と緑に抱かれた静謐な一軒宿の連なりが特徴で、創業400年級の元湯環翠楼から京都風数寄屋造りの福住楼、380余年の歴史を持つ塔ノ沢一の湯本館まで、老舗・大型ホテル・中規模旅館・高級旅館が混在する多様な宿のラインナップ を持ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤 |
| 標高 | 約130m(早川渓谷沿い・湯本駅標高96mより少し高い) |
| 温泉組合 | 箱根町塔ノ沢温泉組合 |
| 宿数 | 約8軒(環翠楼・福住楼・一の湯本館・新館・玉の湯・山の茶屋・金乃竹塔ノ澤・紫雲荘等) |
| アクセス | 箱根登山鉄道 塔ノ沢駅 徒歩1〜10分 |
| 新宿からの所要時間 | ロマンスカー+登山鉄道で約80分 |
| 箱根七湯の位置 | 湯本に次ぐ「二番湯」 |
| 泉質 | アルカリ性単純温泉 pH 8.9(無色透明・美肌の湯) |
| 江戸期番付 | 東-前頭3段目「相州塔の沢の湯」(嘉永4年版・諸国温泉功能鑑) |
新宿駅からの所要時間は 箱根湯本駅まで小田急ロマンスカー最速73分+箱根湯本から箱根登山鉄道で約3分=合計約76〜80分。湯本の駅前商店街の賑わいから箱根登山鉄道に乗り換えてわずか3分で、渓谷の静寂に包まれた老舗旅館の世界に到着できる、箱根の隠れ家 とも呼ばれる温泉地です。
江戸の温泉番付に登載された「相州塔の沢の湯」
塔之沢温泉は、江戸時代後期の温泉番付『諸国温泉功能鑑』(嘉永4年版・1851年)において 「相州塔の沢の湯」 として登載されました。
番付ポジション
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 表記 | 相州塔の沢の湯 |
| 番付の位置 | 東-前頭3段目 |
| 大関 | 上州草津の湯 |
| 関脇 | 野州那須の湯 |
| 小結 | 信州諏訪の湯 |
「東」側の意味
『諸国温泉功能鑑』では温泉地を東西で分類し、東側には関東以北、西側には関西以西の温泉が配置されました。塔之沢は 「相州」(相模国) の温泉として、湯本(前頭2段目)の次の階位 「前頭3段目」 に登載されています。
箱根七湯の中の番付ポジション
『諸国温泉功能鑑』には箱根七湯のうち以下が登載されています:
| 番付 | 名称 | 現在 |
|---|---|---|
| 東-前頭1段目 | 相州足の湯 | 芦之湯温泉 |
| 東-前頭2段目 | 相州湯元の湯 | 箱根湯本温泉 |
| 東-前頭3段目 | 相州塔の沢の湯 | 塔之沢温泉(本記事) |
| 東-前頭3段目 | 相州宮下の湯 | 宮ノ下温泉 |
| 東-前頭3段目 | 相州姥子の湯 | 姥子温泉 |
| 東-前頭3段目 | 相州木賀の湯 | 木賀温泉 |
| 東-前頭4段目 | 相州底倉の湯 | 底倉温泉 |
塔之沢は 湯本(前頭2段目)の次に登載される箱根七湯の上位ポジション にあり、江戸期から現代に至るまで「湯本に次ぐ二番湯」としての地位を保ち続けています。
1605年弾誓上人開湯と阿弥陀寺の物語
塔之沢温泉の開湯は、江戸時代初期の浄土宗の遊行僧・弾誓上人(だんせいしょうにん/1552-1613) によると伝えられます。
弾誓上人と阿弥陀寺再興
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1604年(慶長9年) | 弾誓上人が塔ノ峰の岩屋(自然洞窟)で6年間の修行を開始。小田原藩主大久保忠隣から土地寄進を受け 阿弥陀寺を再興 |
| 1605年(慶長10年) | 弾誓上人が弟子の眼病治療のため、岩を錫杖で叩いて湯を出す ── これが塔之沢温泉発祥の伝承 |
| 1613年(慶長18年) | 弾誓上人入寂 |
| 1614年(慶長19年) | 湯治場として正式に開湯 ── 環翠楼の創業年とされる |
「岩を錫杖で叩いて湯を出す」開湯伝説の意味
弾誓上人による「岩から湯を発生させた」という伝説は、仏教の慈悲(弟子の眼病治療)と修験道の力(錫杖で岩を叩く)が結びついた典型的な開湯譚 です。同様の伝説は、湯河原温泉(弘法大師伝説)・修善寺温泉(弘法大師の独鈷の湯)・恐山温泉(円仁開山)など全国の古湯に見られる定型ですが、塔之沢の場合は 「弟子の眼病」という具体的な動機 が記されている点が独特です。
阿弥陀寺と弾誓上人の岩屋(奥の院)
塔之沢温泉街から徒歩約25分(バス利用も可)の山中には、現在も 阿弥陀寺(あじさい寺)が現存し、本堂から350m上った 弾誓上人の岩屋(奥の院)も残っています。塔之沢温泉訪問時には、開湯の原点を訪ねる歴史散策が楽しめます。
箱根七湯の中の塔之沢 ── 江戸前期に「箱根七湯」へ編入
開湯から70年ほどを経た 江戸前期、箱根の温泉地は 「箱根七湯」 という総称で江戸の人々に知られるようになります。塔之沢は湯本に次ぐ二番目の湯として、この 「箱根七湯」に編入 されたとされます。
江戸期の塔之沢の繁栄
開湯から100年も経たない江戸初期の段階で、塔之沢には 元湯・一ノ湯・瀬戸ノ湯など計12〜13の湯壷 が点在し、東海道の旅人や湯治客で賑わったと記録されています。湯本が街道沿いの「玄関口」として大型化したのに対し、塔之沢は渓谷沿いの「奥座敷」 として、より静かな湯治環境を求める人々の聖地 となりました。
江戸期の旅館
| 創業時期 | 旅館 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1614年(慶長19年) | 元湯環翠楼 | 開湯と同時に湯治場として営業開始(旧称・元湯) |
| 1644年頃(正保年間) | 塔ノ沢一の湯本館 | 創業約380年・「一ノ湯」の名は江戸期からの呼称 |
塔之沢は 江戸期から続く老舗旅館が現在も営業を続ける という、日本でも稀な 「生きた江戸の温泉場」 としての価値を持っています。
環翠楼(創業1614年・国登録有形文化財)── 伊藤博文命名の老舗
塔之沢温泉を象徴する旅館の一つが、元湯 環翠楼(もとゆ かんすいろう) です。
環翠楼の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1614年(慶長19年) ── 開湯と同時に営業開始(旧称・元湯) |
| 歴史 | 約400年・塔之沢最古の宿 |
| 現存建物 | 大正8〜13年(1919〜1924年)建築・木造4階建て和風旅館 |
| 文化財指定 | 2001年8月28日 国登録有形文化財(本館北棟) |
| 屋号の由来 | 伊藤博文が漢詩から「環翠楼」の名を贈った(明治期) |
伊藤博文と環翠楼
明治23年(1890年)以降、初代内閣総理大臣・伊藤博文 が定宿として頻繁に滞在。博文が 漢詩を作って「環翠楼」(翠を環らす楼) という新たな屋号を贈ったことが、現在の名称の由来です。
訪れた政治家・文人墨客
| 時代 | 来館者 |
|---|---|
| 明治期 | 伊藤博文・西園寺公望・東郷平八郎・巌谷小波 |
| 文学 | 島崎藤村・夏目漱石・菊池寛(大正12年頃) |
| 国際 | 孫文・李鴻章(中国近代史の重要人物) |
| 江戸〜明治 | 水戸光圀(黄門)等の伝承 |
特に 孫文(中華民国の父)と李鴻章(清朝の外交官) が訪れた記録は、塔之沢が日中近代外交の舞台でもあった ことを物語ります。
木造4階建ての建築美
大正8〜13年に全国から集めた銘木で建築された 木造4階建ての和風旅館 は、日本でも稀な存在として 2001年8月28日に国登録有形文化財(本館北棟) に登録されています。江戸期の建築様式と大正期の銘木建築が混在する 生きた建築博物館 としての価値を併せ持っています。
福住楼(1890年創業・2002年 国登録有形文化財)── 福澤諭吉から漱石まで
塔之沢温泉のもう一つの象徴が、福住楼(ふくずみろう) です。
福住楼の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1890年(明治23年) |
| 前身 | 玉の湯旅館(福澤諭吉の定宿) |
| 文化財指定 | 2002年(平成14年) 国登録有形文化財 |
| 建築様式 | 京都風数寄屋造り(竹を多用した独特の意匠) |
訪れた文化人
福住楼は 「文豪の宿」 として全国に知られ、以下の文人墨客が長期滞在の記録を残しています:
| 文人 | ジャンル |
|---|---|
| 福澤諭吉 | 啓蒙思想家(前身の玉の湯旅館時代から) |
| 夏目漱石 | 作家(明治の文豪) |
| 島崎藤村 | 詩人・作家 |
| 川合玉堂 | 日本画家(近代日本画の重鎮) |
注意:「萬翠楼福住」(湯本)と「福住楼」(塔之沢)は別の旅館
⚠ 混同注意:
– 湯本温泉「萬翠楼福住」:1625年創業・2002年に 現役旅館として日本初の国指定重要文化財
– 塔之沢温泉「福住楼」:1890年創業・2002年 国登録有形文化財名前が似ていますが 完全に別の旅館 です。創業年・所在地・文化財の種類(重要文化財 vs 登録有形文化財)も異なるため、訪問・予約時には注意が必要です。
数寄屋造りと竹の意匠
福住楼の建築は 京都の茶室建築の流れを汲む数寄屋造り で、特に 竹を多用した独特の意匠 が特徴です。床柱・天井の竹細工・襖の引き手まで、職人の手仕事が随所に残る、明治建築の生きた標本 としての価値を持っています。
江戸期:東海道の二番湯・将軍家湯治の宿場
塔之沢温泉は、江戸期には湯本に次ぐ 東海道の「二番湯」 として、街道を行き交う旅人と将軍家の湯治場として繁栄しました。
東海道との関係
塔之沢は 東海道の本街道(小田原宿〜箱根宿の間)から少し外れた渓谷沿い に位置するため、湯本のように直接街道に面していたわけではありません。しかし、湯本から徒歩約30分の距離 にあり、湯本で一泊した旅人が 「より静かな湯を求めて」塔之沢へ寄り道 するパターンが定着していました。
将軍家湯治の記録
江戸期には、徳川将軍家・大名・幕臣の湯治記録が複数残されており、湯本(将軍家への献上湯)と並んで 塔之沢は幕府公認の湯治場 として機能していました。元湯環翠楼にも、江戸期の高貴な客人の宿泊記録が伝承されています。
明治の鉄道整備と1888年箱根湯本駅開業 ── 塔ノ沢駅の登場
明治時代に入ると、塔之沢温泉は 箱根登山鉄道の整備とともに 大きく発展していきます。
段階的な鉄道発展史
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1888年(明治21年) | 小田原馬車鉄道 開業(国府津駅前〜湯本) |
| 1900年(明治33年) | 湯本までの電化運転開始 |
| 1919年(大正8年)6月1日 | 箱根登山鉄道 箱根湯本〜強羅 全線開業(湯本・塔ノ沢・大平台・宮ノ下・小涌谷・彫刻の森・強羅の7駅同時開業) |
| 1921年(大正10年) | 箱根登山鉄道ケーブル線 強羅〜早雲山開業 |
1919年塔ノ沢駅開業の意義
1919年の塔ノ沢駅開業 により、東京・首都圏から塔之沢温泉への直通アクセスが実現。それまで湯本から徒歩30分 の距離だった塔之沢が、鉄道一駅3分で結ばれることで、「湯本では物足りない・もっと静かな宿」を求める層 にダイレクトに届く温泉地となりました。
戦後:小田急ロマンスカーとの連携
戦後、小田急電鉄が新宿〜小田原間に特急ロマンスカー を運行開始し、箱根湯本まで直通 するサービスが整備されたことで、現在の 新宿〜塔之沢 約80分 という所要時間が確立しました。
泉質 ── アルカリ性単純温泉 pH 8.9(「美肌の湯」と称される)
塔之沢温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉 が中核で、地元では 「美肌の湯」 と呼ばれることがあります(医学的効能を保証する表現ではなく、肌触りの感想に基づく通称)。
泉質の数値スペック(一次情報)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 泉質 | アルカリ性単純温泉(無色透明・無味無臭) |
| pH | 8.9(弱アルカリ性) |
| 泉源 | 現在はボーリングで湯本温泉と同じ基盤岩類から揚湯 |
| 温度 | 旅館により30〜70℃の幅 |
「美肌の湯」と呼ばれる背景
pH 8.9の弱アルカリ性は、皮膚表面の角質に作用する 性質があり、入浴後にしっとりとした肌触りが残る という個人の感想から「美肌の湯」「化粧水のような湯」と地元で称されます(医学的効能を保証するものではありません)。湯本温泉と同じ基盤岩類 から湧出するため、湯本との泉質の連続性も特徴です。
効能(適応症)
アルカリ性単純温泉の一般的な効能(温泉法に基づく適応症):
- 筋肉痛・関節痛・腰痛
- 疲労回復・健康増進
- 冷え性・末梢循環障害
- 清浄作用(弱アルカリ性による皮膚の汚れ除去・温泉法上の一般効能)
⚠ 温泉の効能は個人差があり、医学的治療を保証するものではありません。持病のある方や妊娠中の方は、入浴前に主治医に相談することを推奨します。
弾誓上人の弟子の眼病伝説と泉質
弾誓上人が弟子の眼病治療のため湯を出した という伝説は、現代の泉質的にはアルカリ性単純温泉の 粘膜への穏やかな作用 に対応しています。ただし 眼の疾患への効能は科学的には未検証 であり、現代医学では入浴ではなく専門医療を推奨します。
アクセス・施設情報
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 神奈川県足柄下郡箱根町塔之澤 |
| 最寄駅 | 箱根登山鉄道 塔ノ沢駅 |
| 駅から温泉街 | 徒歩1〜10分(旅館により異なる) |
| 駐車場 | 各旅館に専用駐車場あり |
| 送迎 | 一部旅館は塔ノ沢駅から送迎あり(要事前確認) |
新宿からのアクセス
ロマンスカー+箱根登山鉄道(推奨)
- 新宿駅 → 小田急ロマンスカー 最速73分 → 箱根湯本駅
- 箱根湯本駅 → 箱根登山鉄道(強羅行) 約3分 → 塔ノ沢駅
- 合計:約76〜80分
- 運賃:約 2,470円(特急料金込み)+ 130円(湯本→塔ノ沢)
JR+箱根登山鉄道(料金重視)
- 新宿駅 → JR新宿湘南ライン → 小田原駅
- 小田原駅 → 箱根登山鉄道(強羅行) → 箱根湯本駅 → 塔ノ沢駅
- 合計:約100分・約 1,800円(特急料金不要)
車でのアクセス
東名高速 → 厚木IC → 小田原厚木道路 → 箱根口IC → 国道1号経由で約1時間(東京から)。塔之沢温泉街は 早川渓谷沿いの細い道 のため、運転には注意が必要です。
駅併設の温泉
塔ノ沢駅構内 には 「深澤銭洗弁天」 が祀られており、駅から温泉街へのプロムナードとしても親しまれています。
周辺観光 ─ 阿弥陀寺・出山鉄橋・弾誓上人の岩屋
塔之沢温泉に宿泊すると、徒歩圏で歴史散策 が楽しめるのが大きな魅力です。
1. 阿弥陀寺(あじさい寺)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創建 | 1604年(慶長9年) ── 弾誓上人による再興 |
| 宗派 | 浄土宗 |
| 別名 | 「あじさい寺」 ── 6月の紫陽花が見事 |
| 文化財 | 弾誓上人の岩屋(奥の院)に銘文 |
| アクセス | 塔之沢温泉街から徒歩約25分(または箱根登山バス) |
塔之沢温泉の 開湯の原点 にあたる寺院で、訪問は塔之沢ファンの聖地巡礼として位置付けられます。
2. 弾誓上人の岩屋(奥の院)
阿弥陀寺の本堂から 350m上った塔ノ峰の岩屋(自然洞窟)が、弾誓上人が6年間の修行を行った場所 として現存しています。塔之沢温泉発祥の根源ともいえる聖地で、急な山道のため健脚者向けですが、温泉地の歴史を体感できる稀有な遺構 です。
3. 出山鉄橋
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建造 | 1888年(明治21年)旧東海道鉄橋 → 1917年(大正6年)箱根登山鉄道に転用 |
| 高さ | 早川渓谷の 谷底から43m |
| 文化財 | 国登録有形文化財(鉄道橋として日本最古級) |
塔ノ沢駅から徒歩で接続する箱根登山鉄道の名所で、車窓から渓谷美 を堪能できる撮影スポットです。
4. 深澤銭洗弁天
塔ノ沢駅構内に祀られる弁財天で、銭を清水で洗うと金運が上がるとされる 「銭洗い」 の風習があります。江戸期から続く塔之沢の信仰スポットです。
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訪問前に知っておきたい注意事項
⚠ 訪問前に確認したいこと
- 塔之沢温泉は 箱根七湯の二番湯・湯本に次ぐ位置。箱根全体(七湯・芦ノ湖・大涌谷等)は親記事「箱根温泉ガイド」を参照
- 「萬翠楼福住」(湯本)と「福住楼」(塔之沢)は別の旅館。創業年・所在地・文化財種類が異なる
- 福住楼・環翠楼は 国登録有形文化財 のため、見学のみの場合は事前に旅館へ確認推奨
- 塔ノ沢駅から旅館までは 徒歩 or 旅館送迎。送迎は旅館により条件が異なるため要事前確認
- 阿弥陀寺・弾誓上人の岩屋は 山中にあり健脚者向け。歩きやすい靴を推奨
- 塔之沢温泉街は 早川渓谷沿いの細い道。車での訪問時は運転に注意
- 泉質はアルカリ性単純温泉。湯本温泉と同じ基盤岩類から揚湯のため、現在は湯本との連続性あり
よくある質問(FAQ)
Q1. 塔之沢温泉は江戸時代の温泉番付に載っていたのですか?
A. はい。江戸時代後期の温泉番付『諸国温泉功能鑑』(嘉永4年版・1851年)東-前頭3段目に 「相州塔の沢の湯」 として登載されています。箱根七湯の中では湯本(前頭2段目)に次ぐ階位で、湯本に次ぐ「二番湯」としての地位を保ち続けました。
Q2. 開湯は誰がいつしたとされていますか?
A. 1605年(慶長10年)に浄土宗の遊行僧・弾誓上人(だんせいしょうにん/1552-1613)が、弟子の眼病治療のため岩を錫杖で叩いて湯を出した と伝えられています。1604年に弾誓上人が阿弥陀寺を再興し、塔ノ峰の岩屋で6年間修行していた最中の出来事です。1614年(慶長19年)には湯治場として正式に開湯し、これが現在の元湯環翠楼の創業年とされます。
Q3. 環翠楼と福住楼はどんな旅館ですか?
A. 環翠楼(かんすいろう) は1614年創業・約400年の歴史を持つ塔之沢最古の宿で、現存する木造4階建て和風旅館は大正8〜13年(1919〜1924年)の建築で 国登録有形文化財 です。屋号は 初代内閣総理大臣・伊藤博文 が漢詩から贈ったもの。福住楼(ふくずみろう) は1890年(明治23年)創業の 京都風数寄屋造り の旅館で、2002年に国登録有形文化財 に指定されました。福澤諭吉・夏目漱石・島崎藤村・川合玉堂 など多くの文人墨客が滞在した「文豪の湯」として知られます。
Q4. 萬翠楼福住(湯本)と福住楼(塔之沢)の違いは?
A. 別の旅館 です。萬翠楼福住(ばんすいろう ふくずみ)は湯本温泉にあり、1625年創業・2002年現役旅館初の国指定重要文化財。一方、福住楼(ふくずみろう)は塔之沢温泉にあり、1890年創業・2002年国登録有形文化財。創業年・所在地・文化財の種類(重要文化財 vs 登録有形文化財)も異なります。混同しやすいので予約時には注意が必要です。
Q5. 塔之沢温泉の泉質は?
A. アルカリ性単純温泉 pH 8.9(無色透明・無味無臭)が中核です。美肌の湯 と呼ばれ、入浴後にしっとりとした肌触りが残ります。現在はボーリングで 湯本温泉と同じ基盤岩類 から揚湯しており、湯本との泉質の連続性があります。
Q6. 塔ノ沢駅から温泉街までどのくらいですか?
A. 旅館により 徒歩1〜10分 です。駅至近の旅館もあれば、早川対岸の旅館もあります。一部旅館は駅からの送迎を行っているので、事前に各旅館へ確認することを推奨します。
Q7. 阿弥陀寺は塔之沢温泉から行けますか?
A. はい。塔之沢温泉街から徒歩約25分、または箱根登山バスで阿弥陀寺バス停下車。「あじさい寺」 として知られ、6月には紫陽花が見事です。本堂から350m上った 弾誓上人の岩屋(奥の院) は塔之沢温泉発祥の聖地で、健脚者向けの山道の先にあります。
Q8. 文豪が愛した塔之沢の旅館で、特に有名な滞在エピソードは?
A. 夏目漱石の福住楼滞在(明治期)と 島崎藤村の環翠楼・福住楼両方への滞在記 が有名です。また 伊藤博文の環翠楼定宿(環翠楼の屋号を博文が漢詩から命名)、孫文の環翠楼来館(中国革命前後の日中関係)なども史料に残されています。
Q9. 塔之沢温泉と湯本温泉、どちらに泊まるべきか?
A. 用途で分かれます。湯本は 駅前商店街・食べ歩き・日帰り温泉が充実 で観光メインの方向け。塔之沢は 渓谷の静謐・老舗旅館の建築美・文豪の足跡を体感 したい歴史好き・建築好き・文学好きの方向け。両方を組み合わせる「2泊・2湯」プラン も箱根七湯巡りの楽しみ方として推奨されます。
Q10. 塔之沢温泉に宿泊予定ですが、観光の組み合わせは?
A. 1泊2日の例:①初日に湯本到着→塔之沢の旅館チェックイン→福住楼または環翠楼の建築見学→温泉。②翌日 阿弥陀寺・あじさい寺→出山鉄橋を車窓から→強羅・芦ノ湖方面(親記事「箱根温泉ガイド」)または湯本商店街(第12号「箱根湯本温泉ガイド」)。塔之沢を起点に箱根全体を巡るのが王道コースです。
まとめ・関連記事
塔之沢温泉は、1605年弾誓上人開湯の420年史・箱根七湯の二番湯・江戸番付『相州塔の沢の湯』登載・環翠楼1614年創業(伊藤博文命名・国登録有形文化財)・福住楼1890年創業(文豪の宿・2002年国登録有形文化財) という多層的な歴史を持つ、箱根の 隠れ家温泉郷 です。湯本の喧騒から登山鉄道で3分、渓谷の静寂に包まれた老舗旅館の世界 で、文豪・政治家・国際人が愛した湯と建築を体感できる、首都圏屈指の 「文豪の湯」 です。
本記事は箱根全体の親記事「箱根温泉ガイド」(第2号)から派生する 地区別記事第2弾 として、「塔之沢特化」 に絞った独自視点で執筆しています。第1弾第12号「箱根湯本温泉ガイド」とあわせて読むと、箱根七湯の最古湯(湯本)と二番湯(塔之沢)の連続性と差異 が体系的に理解できます。今後、箱根の他の温泉地(宮ノ下・芦之湯・木賀・底倉・姥子等)も順次派生記事化していく予定です。
関連記事
- マザー記事:温泉番付(江戸時代)を今の温泉名にして地図に表記!
- 親記事:箱根温泉ガイド(第2号)
- 第12号:神奈川・箱根湯本温泉ガイド
- 第11号:栃木・日光湯元温泉ガイド
- 天成園(箱根湯本のホテル記事)
- 玄 箱根強羅(ホテル記事)
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