神奈川・箱根湯本温泉ガイド|江戸番付『相州湯元の湯』×釈浄定坊738年開湯と早雲寺・北条五代の戦国史

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神奈川県足柄下郡箱根町湯本・早川と須雲川の合流点、新宿から小田急ロマンスカーで最速73分の場所に、江戸時代の温泉番付『諸国温泉功能鑑』に「相州湯元の湯」として登載された名湯があります ── 箱根湯本温泉(はこねゆもとおんせん) です。

箱根湯本温泉は、738年(天平10年)に釈浄定坊(しゃくじょうじょうぼう)が「惣湯」を発見したと伝えられる、約1,300年の歴史を持つ古湯。箱根七湯(湯本・塔之沢・宮ノ下・堂ヶ島・底倉・木賀・芦之湯)の最古 にあたり、江戸期には東海道の湯治場・将軍家への献上湯として全国にその名を知られました。

この記事では、がやが一次史料と公式情報を読み解きつつ、複数回の訪問で感じた実体験も交えながら、箱根全体ではなく「湯本」に特化した独自の歴史と魅力 を完全紹介します。箱根全体については親記事「箱根温泉ガイド」もあわせてご覧ください。

📌 本記事は「実体験+一次史料統合ガイド」(湯本特化・第1弾)です
がやが箱根湯本を複数回訪問して感じた本音の魅力(実体験編)と、一次史料・箱根町観光協会・早雲寺・箱根町立郷土資料館・小田急電鉄・箱根登山鉄道の公式情報を統合した完全ガイドです。

執筆:がや

会社の出張で過去20年、全国を飛び回り、各地のビジネスホテルや温泉地の旅館に宿泊してきた執筆者。趣味でも温泉巡りを続け、温泉宿は通算200泊以上。歴史好きで、温泉地周辺の歴史的建造物や文化財も合わせて訪ねてきました。江戸期温泉番付の現物(弘化2年改訂版『諸國温泉鑑』・鳥瞰図形式)を所有。江戸時代の温泉番付『諸国温泉功能鑑』を起点に、登載された温泉地を一つずつ訪ね、文献と現地を照らし合わせながら歴史的視点で記事化しています。本記事はマザー記事「温泉番付(江戸時代)を今の温泉名にして地図に表記!」から派生した第12号で、第2号「箱根温泉ガイド」から地区別派生第1弾として箱根湯本に特化。箱根湯本には複数回訪問しており、本記事は一次史料・公式情報の読み解きに加え、実際に湯本駅前商店街・早川河畔・温泉旅館を歩いた実体験も交えて執筆しています。

📑 目次

  1. 早川・須雲川合流点・標高96mの渓谷温泉、箱根湯本温泉とは
  2. 江戸の温泉番付に登載された「相州湯元の湯」
  3. 738年釈浄定坊開湯と箱根七湯最古の歴史
  4. 早雲寺と北条五代の戦国史 ── 1521年〜1590年秀吉本陣
  5. 江戸期:東海道の湯治場・将軍家献上湯
  6. 明治の鉄道網整備と関東最初の水力発電所
  7. 泉質 ── 74源泉・毎分4,679L・約6種混在の多様性
  8. アクセス・施設情報
  9. 周辺観光 ─ 早雲寺・玉簾の滝・旧東海道杉並木
  10. 萬翠楼福住と湯本の老舗旅館
  11. 湯本商店街の食べ歩き文化 ─ 湯もち・湯葉丼・干物
  12. 季節暦:春の桜・秋の紅葉・冬の駅伝・8月の大文字焼
  13. 訪問前に知っておきたい注意事項
  14. がやの実体験:箱根湯本に複数回訪問して感じた魅力
  15. よくある質問(FAQ)
  16. まとめ・関連記事

📌 この記事で分かること

  • 江戸時代の温泉番付『諸国温泉功能鑑』東-前頭2段目「相州湯元の湯」として登載された歴史的格
  • 738年(天平10年)釈浄定坊による「惣湯」発見と箱根七湯最古の歴史
  • 早雲寺と北条五代の戦国史(1521年創建・1590年秀吉本陣・国重文「絹本淡彩北条早雲像」)
  • 江戸期の東海道湯治場・将軍家献上湯としての発展(吉宗時代8年で3,643樽)
  • 明治の鉄道史(1888年馬車鉄道→1896年電気化→1919年箱根湯本駅開業)
  • 萬翠楼福住(1625年創業・現役旅館初の国指定重要文化財)の格
  • 湯本商店街の食べ歩き文化(湯もち・湯葉丼・干物)と箱根駅伝6区通過点

⚠ 訪問前に必ず知っておきたいこと

  • 本記事は箱根湯本に特化した派生記事。箱根全体(七湯・芦ノ湖・大涌谷等)は親記事「箱根温泉ガイド」を参照
  • 箱根湯本は箱根七湯の最古かつ玄関口。湯本駅は小田急ロマンスカー終着駅・箱根登山鉄道の起点
  • 大文字焼は強羅で8月16日に開催(湯本ではない点に注意)
  • 箱根駅伝復路は1月3日12:20頃に湯本駅前を通過。観戦時は早朝から場所取りの混雑あり
  • 湯本駅から早雲寺までは徒歩約15分。歴史散策には歩きやすい靴を推奨

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早川・須雲川合流点・標高96mの渓谷温泉、箱根湯本温泉とは

箱根湯本温泉は、神奈川県足柄下郡箱根町湯本・早川と須雲川の合流点(標高約96m) に位置する箱根町の玄関口にあたる温泉地です。箱根湯本観光協会 には多数の旅館・ホテルが加盟しており、江戸時代の東海道五十三次の宿場町・湯治場 から、現代の箱根観光の起点・小田急ロマンスカーの終着駅へと連続的に発展してきた稀有な温泉地です。

箱根湯本温泉の最大の特徴は、箱根七湯の中で最古の開湯(738年) であり、かつ 江戸期の温泉番付『諸国温泉功能鑑』に「相州湯元の湯」として登載された 格の高さ。源泉数は 74本、湧出量は 毎分4,679L と、箱根町内でも屈指の規模を誇り、約6種類の泉質が混在 する多様性も他の温泉地にはない湯本独自の魅力です。

💡 箱根湯本温泉の3つの特徴
箱根七湯最古の開湯(738年・釈浄定坊「惣湯」発見)
江戸番付登載:『諸国温泉功能鑑』東-前頭2段目「相州湯元の湯」
箱根の玄関口:小田急ロマンスカー終着駅・箱根登山鉄道起点・新宿から最速73分

項目 内容(出典)
場所 神奈川県足柄下郡箱根町湯本597(湯本温泉中心部)
標高 約96m(湯本駅・2013年改訂)
源泉数 74本(箱根町温泉協会公式)
湧出量 毎分 4,679L
泉質 約6種混在(弱アルカリ性単純温泉が中核・塩化物泉・硫酸塩泉等)
温度 30〜80℃(源泉により幅あり)
開湯年 738年(天平10年)釈浄定坊による「惣湯」発見伝承(公式・現地碑あり)
旅館組合加盟 箱根湯本観光協会 多数加盟
江戸番付 諸国温泉功能鑑 東-前頭2段目「相州湯元の湯」(嘉永4年版)

「箱根の玄関口」としての3つの顔

箱根湯本温泉は、地理的・歴史的・現代的の3つの「玄関口」性を併せ持っています:

  1. 歴史的玄関口:江戸時代の東海道・小田原宿の次に位置する湯治場
  2. 鉄道の玄関口:小田急ロマンスカーの終着駅・箱根登山鉄道の起点(標高96m→中強羅553m→早雲山760mへ標高差664mの登山鉄道)
  3. 観光の玄関口:箱根全体(七湯・芦ノ湖・大涌谷・仙石原)への乗換拠点

新宿駅からの所要時間は 小田急ロマンスカー最速73分、運賃は 約2,470円(特急料金込み)。箱根の温泉地の中でも東京から最も短時間でアクセスできる立地が、湯本の特別な人気を支えています。


江戸の温泉番付に登載された「相州湯元の湯」

箱根湯本温泉は、江戸時代後期に発行された 温泉番付『諸国温泉功能鑑(しょこくおんせんこうのうかがみ)』に「相州湯元の湯(そうしゅう ゆもと の ゆ)」として登載されています。本番付は当時の温泉地を相撲の番付になぞらえて格付けしたもので、東の大関は草津温泉、西の大関は有馬温泉、行司には熱海・伊豆熊野本宮・新宮といった顔ぶれが並ぶ、江戸期最有名の温泉ランキングです。

段位:東-前頭2段目(嘉永4年版)

嘉永4年(1851年)版の番付内では、湯本は 東-前頭2段目 に登載されています。これは江戸期の温泉番付内で 箱根七湯のなかで芦之湯(東-前頭1段目)に次ぐ第2位 の段位ですが、湯本は街道アクセスと将軍家献上湯で 実質的に箱根温泉郷の中枢 として位置づけられていました。

「相州」「湯元」の意味

「相州(そうしゅう)」は江戸時代の旧国名「相模国(さがみのくに)」の別称で、現在の神奈川県の大部分を指します。箱根は古来より相模国の玄関口に位置していました。

「湯元(ゆもと)」は字義通り「温泉の元(みなもと)」を意味し、箱根七湯の最古かつ中心的存在として湯本がそう呼ばれてきた経緯を反映しています。738年の開湯から一貫して 「箱根温泉の元(湯本)」 という認識が江戸期にも継承されていました。

同段位の温泉地との比較

嘉永4年版『諸国温泉功能鑑』東-前頭2段目には、湯本のほかにも複数の温泉地が並びます:

段位 主な温泉地
東大関 草津温泉(群馬)
西大関 有馬温泉(兵庫)
東前頭1段目 武州小河内原(鶴の湯)・陸奥嶽(岳温泉)・相州芦之湯(湯本と同じ箱根七湯) 等
東前頭2段目 相州湯元(湯本)・信州渋湯・南部恐山・下野中禅寺麓・米沢赤湯 等

これを見ると、湯本は 東国の主要湯治場・寺院領温泉地と肩を並べる格式 を持っていたことがわかります。

番付一次史料の所蔵

所蔵機関 コレクション
早稲田大学図書館 千厓文庫 A1318
東京大学総合図書館 石本コレクション I
国立国会図書館 デジタルコレクション(一部)

738年釈浄定坊開湯と箱根七湯最古の歴史

箱根湯本温泉の開湯は 738年(天平10年)、釈浄定坊(しゃくじょうじょうぼう)が「惣湯(そうゆ)」を発見 したと伝えられています。約1,300年の歴史を持つ湯本は、箱根七湯の最古 にあたります。

「箱根温泉発祥之地」碑(現地)

箱根湯本駅南西500m・湯本熊野神社参道には、現在も 「箱根温泉発祥之地」碑 が建立されており、釈浄定坊による湯本開湯を後世に伝えています。湯本駅から徒歩で訪問できる場所にあり、湯本歴史散策の重要なスポットとなっています。

別説:757年(天平宝字元年)

開湯年については、757年(天平宝字元年) とする別説もあります。本記事では、箱根町観光協会・現地碑文の公式採用に従い 「738年」を主軸 とし、「757年説」も併記する立場で記述しています。いずれの年も奈良時代の8世紀中葉という点では一致しており、約1,300年の歴史 という事実に変わりはありません。

箱根七湯の構成

江戸時代に「箱根七湯」と総称された温泉群は、以下の7つです:

# 温泉名 特徴
1 湯本 738年開湯・最古・箱根の玄関口
2 塔之沢 江戸期に開湯・福住楼(文豪宿)
3 堂ヶ島 早川渓谷の秘湯
4 宮ノ下 富士屋ホテル(1878年)・国際的避暑地
5 底倉 太閤石風呂伝承
6 木賀 将軍家献上湯の元祖(1644年正保元年)
7 芦之湯 箱根七湯内前頭1段目(番付内最高段位)

湯本は段位こそ前頭2段目(芦之湯に次ぐ)ですが、最古性・玄関口性・東海道宿場連続性 の3つの要素で箱根温泉郷の中枢として機能してきました。

鎌倉期の湯本

鎌倉時代(1185-1333年)には、湯本は 箱根権現(現・箱根神社)参詣の経路上 に位置する湯治場として知られていたとされます。源頼朝・北条政子の湯本来訪伝承もありますが、一次史料での裏付けは限定的なため、本記事では 「箱根権現参詣の経路上の湯治場」 という慎重な表現に留めます。

📜 鎌倉期の箱根は、修験道(箱根権現信仰)と武家政権の交差点。湯本はその経路上にあって、参詣者・修験者・武家の湯治場として機能していたと考えられます。


早雲寺と北条五代の戦国史 ── 1521年〜1590年秀吉本陣

箱根湯本に独自の歴史的価値を与えているのが、戦国時代の北条氏菩提寺 早雲寺(そううんじ) の存在です。湯本駅から徒歩約15分の場所に位置するこの寺は、戦国時代から江戸時代へと続く重要な歴史の舞台となりました。

早雲寺の創建(1521年・大永元年)

早雲寺は 大永元年(1521年) に創建された臨済宗大徳寺派の寺院で、北条早雲(1432-1519年)の菩提寺です。

項目 内容
創建 大永元年(1521年)
開山 以天宗清(いてんそうせい)
開基 北条氏綱(早雲の長男・第二代当主)
宗派 臨済宗大徳寺派
本尊 釈迦如来三尊
場所 湯本駅徒歩約15分

開山にあたり、湯本が早雲寺の門前町として寄進された ことが、湯本温泉街の歴史を大きく方向付けました。寺の創建によって湯本は単なる湯治場から「寺の門前町+湯治場」という二重の性格を持ち、戦国・江戸期を通じてその性格が継承されていきます。

1590年豊臣秀吉の小田原征伐:早雲寺が秀吉本陣化→焼失

戦国時代末期の 1590年(天正18年)、豊臣秀吉による 小田原征伐 において、早雲寺は秀吉軍の 本陣 として使用されました。秀吉は早雲寺に陣を構え、石垣山一夜城 の築城を指揮し、北条氏直の小田原城を攻略しました。

しかし、北条氏の滅亡とともに早雲寺も 戦火で焼失 します。この出来事は、戦国時代の終焉と江戸時代の到来を象徴する歴史的な事件として、湯本の歴史に深く刻まれています。

1627年再建・1672年北条五代墓建立

早雲寺は 寛永4年(1627年) に再建され、その後 寛文12年(1672年)狭山藩北条氏治 によって 北条五代(早雲・氏綱・氏康・氏政・氏直)の墓 が建立されました。

💡 狭山藩(現・大阪府狭山市)は、北条氏直の子孫が立藩した小藩で、北条氏のルーツである相模・箱根の早雲寺に五代の墓を建立することで、滅亡した北条本家の供養を継承したと考えられます。

早雲寺の文化財

早雲寺は現在、国指定重要文化財 を複数所蔵しています:

文化財 種別
絹本淡彩北条早雲像 国指定重要文化財・絵画
織物張文台 国指定重要文化財・工芸品

これらは戦国期の貴重な文化遺産であり、湯本訪問時には 拝観可能 な期間に合わせて訪れる価値があります(拝観料・公開時期は事前に箱根町観光協会等で確認推奨)。

早雲寺の現代の意義

早雲寺は単なる古刹ではなく、戦国期の北条氏 → 1590年秀吉本陣 → 江戸期再建 → 現代 という日本史の連続性を体現する稀有な存在です。湯本温泉が江戸期の番付で前頭2段目に登載された背景には、この 戦国・江戸期の歴史的重層性 が大きく影響していたと考えられます。


江戸期:東海道の湯治場・将軍家献上湯

江戸時代に入ると、湯本温泉は 東海道五十三次 の延長線上にある湯治場として、参勤交代の大名・庶民の湯治客で大いに賑わいました。

東海道と湯本の連続性

東海道は江戸(日本橋)から京都(三条大橋)を結ぶ江戸期最重要の街道で、小田原宿の次は箱根宿(芦ノ湖畔)でした。湯本は 小田原宿から箱根宿への登り道の入口 に位置し、参勤交代の大名や東海道往来の旅人が 湯治休憩 を取る場所として機能しました。

将軍家への献上湯(1644年〜)

正保元年(1644年)、湯元(湯本)を含む箱根七湯から 江戸城の将軍家への献上湯制度 が始まりました。樽詰めにした温泉を江戸城まで届け、将軍家の入浴用として使用される、当時の温泉文化の象徴的な制度です。

時代 規模
正保元年(1644年) 木賀から献上湯開始
寛文期以降 湯本を含む4湯に拡大
8代将軍吉宗時代 8年間で3,643樽(年平均約455樽)

献上湯制度は江戸期を通じて継続され、湯本温泉の格を支える重要な要素となりました。「将軍家が使う湯」というブランドは、当時の庶民にとっても強い憧れの対象だったと考えられます。

萬翠楼福住の創業(1625年・寛永2年)

湯本温泉街の中核に位置する 萬翠楼福住(ばんすいろう ふくずみ) は、寛永2年(1625年)創業 の老舗旅館。約400年の歴史を持つ湯本最古級の宿で、2002年に現役旅館として日本初の国指定重要文化財 に指定されました。

💡 萬翠楼福住は、江戸期からの建築様式を維持したまま現役の温泉旅館として営業を続けている、日本でも極めて稀な存在です。湯本訪問時には、宿泊または見学の機会を作る価値のある文化遺産です。

なお、塔ノ沢の福住楼(明治の文豪が愛した宿)と 湯本の萬翠楼福住別の旅館 ですので、混同に注意が必要です。


明治の鉄道網整備と関東最初の水力発電所

明治時代に入ると、箱根湯本は 東京近郊の温泉地 として鉄道網の発達とともに大きく変貌していきます。同時期、湯本は 関東地方最初の水力発電所 が設置された近代インフラ最先端の温泉地でもありました。

段階的な鉄道発展史

出来事
1888年(明治21年) 小田原馬車鉄道 開業(国府津駅前〜湯本)
1896年(明治29年) 小田原電気鉄道 へ商号変更
1900年(明治33年) 湯本までの電化運転開始
1919年(大正8年)6月1日 箱根登山鉄道 箱根湯本〜強羅 全線開業(湯本・塔ノ沢・大平台・宮ノ下・小涌谷・彫刻の森・強羅の7駅同時開業)
1921年(大正10年) 箱根登山鉄道ケーブル線 強羅〜早雲山開業

ここで重要なのは、「1888年は馬車鉄道で電気鉄道ではない」 という点です。明治期の段階的発展(馬車→電気→専用線)が湯本温泉の近代化の歩みを物語っています。

1892年箱根電燈発電所 ── 関東地方最初の水力発電所

馬車鉄道(1888年)と並行して、湯本では明治期のもう一つの近代化が進んでいました。1892年(明治25年)6月、湯本に 「箱根電燈発電所」 が設置されたのです。

項目 内容
設置年 1892年(明治25年)6月
位置づけ 関東地方最初の水力発電所(全国2番目)
先行例 1891年(明治24年)京都・蹴上発電所
当初点灯数 電灯200灯
給電先 湯本・塔ノ沢温泉郷の旅館・温泉街
廃止 1900年(明治33年)── 須雲川上流の湯本発電所に集約
跡地 現在の吉池旅館敷地内(箱根町設置の解説板あり)

京都蹴上に次ぐ全国2番目 の商用水力発電所が湯本に置かれた背景には、早川・須雲川の豊富な水量 という地形的優位性があります。馬車鉄道(1888年)→水力発電(1892年)→電気鉄道化(1900年)と、湯本は 明治期の近代化最先端の温泉地 として歩みを進めました。

関東地方最初の水力発電所跡(明治25年・吉池旅館敷地)
1892年明治25年に湯本に設置された関東地方初の水力発電所跡を示す解説板(現・吉池旅館敷地内)

1919年箱根湯本駅開業の意義

1919年の箱根湯本駅開業 は、湯本温泉が「江戸期の街道沿い湯治場」から「鉄道アクセスの近代温泉地」へと変貌する決定的瞬間でした。これにより、東京から日帰り・宿泊の両方で訪問可能な温泉地となり、現代の箱根観光の基盤が形成されました。

戦後:小田急ロマンスカーの登場

戦後、小田急電鉄が新宿〜小田原間に特急ロマンスカー を運行開始。箱根湯本まで直通 する小田急のサービスが、湯本を首都圏の代表的観光地として確立させました。現在、新宿〜箱根湯本 最速73分・約2,470円 という所要時間・運賃は、東京から最も短時間でアクセスできる温泉地の地位を不動のものにしています。


泉質 ── 74源泉・毎分4,679L・約6種混在の多様性

箱根湯本温泉の泉質は、温泉学的に 多様性 が際立つのが特徴です:

泉質の数値スペック(一次情報)

項目 数値
源泉数 74本(箱根町温泉協会公式)
湧出量 毎分 4,679L
温度幅 30〜80℃(源泉により幅あり)
主要泉質 弱アルカリ性単純温泉(中核)
副次泉質 塩化物泉・硫酸塩泉・含鉄泉 等(約6種混在
pH 8〜9前後(弱アルカリ性)

約6種混在の意味

箱根湯本温泉の 泉質約6種混在 という特徴は、各旅館が独自の源泉から湯を引いており、宿によって異なる泉質の温泉を体験できることを意味します。同じ「湯本温泉」でも、宿を変えると湯の質感・効能が異なるという、「飲み比べ」ならぬ「湯比べ」 の楽しさが湯本ならではです。

効能(適応症)

弱アルカリ性単純温泉の一般的な効能(温泉法に基づく適応症):

  • 筋肉痛・関節痛・腰痛
  • 疲労回復・健康増進
  • 冷え性・末梢循環障害
  • 慢性消化器病

⚠ 温泉の効能は個人差があり、医学的治療を保証するものではありません。持病のある方や妊娠中の方は、入浴前に主治医に相談することを推奨します。

弥坂湯(共同浴場)

湯本温泉街の中で日帰り入浴ができる共同浴場として 弥坂湯(やさかゆ) があります。1949年(昭和24年)湯本町生協発祥 の歴史的な共同浴場で、湯本29号+46号源泉の混合泉 を使用。地元の人々が日常的に利用する素朴な温泉文化を体験できます。


アクセス・施設情報

箱根湯本温泉は東京から最も短時間でアクセスできる本格温泉地として、新宿から特急ロマンスカーで直通という利便性が最大の特徴です。

項目 内容
住所 神奈川県足柄下郡箱根町湯本597(湯本温泉中心部)
電話(観光協会) 箱根湯本観光協会 公式サイト hakoneyumoto.com
最寄駅 箱根湯本駅(小田急小田原線 / 箱根登山鉄道)
送迎 各旅館へ確認
駐車場 各旅館完備・湯本駅周辺有料駐車場あり

電車(東京から)新宿駅小田急ロマンスカー(直通)最速73分・約2,470円箱根フリーパス 新宿発2日券 7,100円・小田原発2日券 6,000円(2025/10改定)

鉄道でのアクセス(東京から)

ルート1:小田急ロマンスカー(直通・推奨)
– 新宿 → 箱根湯本:最速73分
– 運賃:約 2,470円(特急料金込み)
– 1日多数便運行

ルート2:JR東海道線+箱根登山鉄道
– 東京 → 小田原(東海道線・約75分)
– 小田原 → 箱根湯本(箱根登山鉄道・約15分・360円)

箱根フリーパス(観光に便利・推奨):
新宿発 2日券 7,100円(2025年10月改定)
– 小田原発 2日券 6,000円
– 小田急電車・箱根登山鉄道・箱根登山バス・箱根海賊船・箱根ロープウェイ・芦ノ湖遊覧船 乗り放題

車でのアクセス

  • 東京都心 → 東名高速・厚木IC → 小田原厚木道路・小田原西IC → 箱根新道 → 箱根湯本IC
  • 所要:約1時間30分〜2時間(渋滞時更に増)
  • 湯本駅周辺駐車場:有料・台数制限あり(土日祝は早朝から満車)

周辺観光 ─ 早雲寺・玉簾の滝・旧東海道杉並木

湯本温泉に宿泊すると、徒歩圏で歴史散策 が楽しめるのが大きな魅力です。

早雲寺(湯本駅徒歩約15分)

1521年創建・北条早雲菩提寺 で、北条五代(早雲・氏綱・氏康・氏政・氏直)の墓所、国重要文化財「絹本淡彩北条早雲像」「織物張文台」を所蔵する戦国期の歴史を体感できる古刹です。

項目 内容
場所 湯本駅徒歩約15分
創建 1521年(大永元年)
宗派 臨済宗大徳寺派
開山 以天宗清
開基 北条氏綱
文化財 国重文「絹本淡彩北条早雲像」「織物張文台」
拝観料 公開時期により変動・要確認

玉簾の滝(たまだれのたき)

湯本温泉街の奥(天成園敷地内)にある 玉簾の滝。落差約7mの繊細な滝で、玉簾神社とともに湯本の名所のひとつ。詳細は天成園記事(湯本所在のホテル記事)もあわせて参照してください。

旧東海道杉並木

湯本駅から箱根方面へ向かう旧東海道沿いには、江戸期の杉並木 が一部残されています。徳川家光時代に整備された街道杉並木で、東海道の往時を偲べる貴重な歴史遺産です。

湯本駅周辺商店街

湯本駅から徒歩圏には、饅頭店・湯もち店・湯葉料理店・干物店 など、湯本ならではの商店街が広がっています。観光客で賑わう 食べ歩き文化 が湯本の特色のひとつです。


萬翠楼福住と湯本の老舗旅館

湯本温泉街には、江戸期からの老舗旅館 が複数現存しており、温泉宿としてだけでなく 日本の旅館建築・湯治文化の生きた博物館 としての価値を持っています。

萬翠楼福住(ばんすいろう ふくずみ)

項目 内容
創業 1625年(寛永2年)
歴史 約400年・湯本最古級の宿
文化財指定 2002年 現役旅館として日本初の国指定重要文化財
特徴 江戸期建築様式を維持しながら現役営業

萬翠楼福住は、「現役旅館として日本初の国指定重要文化財」 という日本の温泉宿史において特別な位置を占める旅館です。江戸時代の建築・調度品を維持しながら、現代の宿泊客を迎え続けているという稀有な存在です。

注意:福住楼(塔ノ沢)と萬翠楼福住(湯本)は別の旅館

塔ノ沢温泉の「福住楼」(明治の文豪・夏目漱石・伊藤博文・志賀直哉等が愛した宿)と 湯本温泉の「萬翠楼福住」(1625年創業・国重文)は 別の旅館 です。混同しやすいので、訪問・予約時には注意が必要です。

文化人が愛した湯本 ── 小室翠雲『長興山荘』別荘跡

湯本温泉は単なる湯治場にとどまらず、文人墨客が集う文化サロン としての顔も持っていました。その象徴が、近代南画の重鎮 小室翠雲(1874〜1945) が滝通りに構えた別荘 「長興山荘」 です。

箱根町設置の解説板「小室翠雲の別荘跡」によると、群馬県館林市生まれの翠雲は、16歳のとき日本画家・田崎草雲に師事して才能を開花させ、近代南画の重鎮として画壇をリードしました。大正5・6年(1916〜17年)頃、萬翠楼福住の九代当主 福住九蔵 の斡旋により、滝通りの実業家・茶人として知られた 野崎幻庵 の別荘を譲り受け、これを 「長興山荘」 と称して新しい南画の振興と普及に尽力したとされます。

福住九蔵が文化人を支援し、翠雲が湯本に拠点を構えた事実は、江戸〜大正期の湯本が文人たちの創作の地でもあった ことを物語る貴重な歴史遺産です。

小室翠雲の別荘跡解説板(箱根町設置)
近代南画の重鎮・小室翠雲が大正期に構えた別荘「長興山荘」の解説板(箱根町設置)

湯本商店街の食べ歩き文化 ─ 湯もち・湯葉丼・干物

湯本温泉街は、温泉旅館に泊まらなくても 日帰りで楽しめる食べ歩き文化 が発達しています。湯本駅から温泉街にかけての商店街には、湯本ならではの名店が並びます。

湯もち本舗ちもと(湯本名物・神奈川県指定銘菓)

湯もち本舗ちもと は創業約70年の和菓子店で、湯本名物の 「湯もち」 で知られます。神奈川県指定銘菓 にも認定されており、湯本駅前商店街の代表的な土産物として親しまれています。柔らかな餅生地に柚子の風味を加えた、上品な味わいの和菓子です。

湯葉丼直吉(湯葉丼御膳2,300円)

湯葉丼直吉(ゆばどん なおきち) は、湯本の名物 湯葉丼 を提供する人気店。湯葉丼御膳 2,300円 は連日行列ができる人気メニューで、湯本観光の代表的なグルメスポットです。

💡 日光ゆば(二つ折り)と京湯葉(一枚膜)は別物ですが、湯本の湯葉は神奈川・伊豆エリア独自の製法で作られた地域文化です。

山安(箱根湯本店)

山安(やまやす)箱根湯本店 は、2025年2月にリニューアル した干物の名店。営業時間 9:00〜17:30。湯本観光の土産物として、湯本駅前で焼きたての干物が買える 貴重な店舗です。

商店街の食べ歩き散策

湯本駅から温泉街へ向かう道のりは、上記以外にも 饅頭店・煎餅店・地酒店・骨董品店・寄木細工店 など、約30〜40店舗が並ぶ食べ歩きと買い物の天国。温泉旅館に宿泊しなくても日帰りで満足できる という湯本の独自の魅力を生み出しています。

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記事中で紹介した 湯もち本舗ちもとの「湯もち」山安の干物箱根寄木細工 など、神奈川県箱根町ならではの特産品はふるさと納税の返礼品として全国から取り寄せできます。湯治のお土産代わりに、江戸期から続く湯本の食文化と伝統工芸を税控除付き で応援できます。

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季節暦:春の桜・秋の紅葉・冬の駅伝・8月の大文字焼

箱根湯本温泉は標高約96mの低地に位置するため、箱根エリアの中で最も気候が穏やか で、四季を通じて訪問しやすい温泉地です。

季節 楽しみ
春(3-4月) 早雲寺の桜(3月下旬〜4月中旬)・御衣黄・鬱金など稀少品種・湯本駅周辺の桜並木
夏(6-8月) 湯本温泉夏祭り・強羅大文字焼(8月16日・湯本ではない点注意)
秋(10-12月) 湯本紅葉(11月下旬〜12月初旬)箱根エリア最遅
冬(1月) 箱根駅伝復路(1月3日12:20頃湯本駅前通過)

春:早雲寺の桜と湯本駅周辺の桜並木

早雲寺の桜 は、御衣黄(ぎょいこう)・鬱金(うこん) など緑色や淡黄色の稀少品種を含む見応えある桜並木で、湯本歴史散策の春の風物詩。湯本駅周辺の桜も含めて、3月下旬〜4月中旬 が桜のピークです。

秋:箱根エリア最遅の紅葉

湯本は箱根エリアの中で 標高が最も低い(96m) ため、紅葉も 箱根エリア最遅の11月下旬〜12月初旬 が見頃。芦ノ湖(標高723m)が10月下旬〜11月上旬、強羅(標高553m)が11月上旬〜中旬、湯本が11月下旬〜12月初旬という、箱根全体の紅葉前線を最後に締めくくる 立地です。

冬:箱根駅伝の通過点

箱根駅伝復路(1月3日) は、6区(山下り・小涌園前→芦ノ湖芦ノ湖町〜小田原中継所) が湯本駅前商店街を通過します。例年 12:20頃 に湯本駅前を通過するため、観戦したい場合は朝から場所取りが必要です。

注意:大文字焼は強羅で開催

箱根の大文字焼8月16日 開催)は 強羅で開催 され、湯本ではありません。湯本宿泊時に大文字焼を観賞する場合は、強羅まで移動が必要です(湯本駅から箱根登山鉄道で約45分)。


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訪問前に知っておきたい注意事項

⚠ 訪問前に確認したいこと

  • 箱根湯本は箱根七湯の最古かつ玄関口。箱根全体(七湯・芦ノ湖・大涌谷等)は親記事「箱根温泉ガイド」を参照
  • 大文字焼は強羅で8月16日に開催(湯本ではない点に注意)
  • 箱根駅伝復路は1月3日12:20頃に湯本駅前通過。観戦時は早朝から場所取りの混雑あり
  • 湯本駅から早雲寺までは徒歩約15分。歴史散策には歩きやすい靴を推奨
  • 湯本駅周辺駐車場は土日祝は早朝から満車になりやすい。公共交通機関(小田急ロマンスカー)の利用を推奨
  • 湯葉丼直吉・湯もち本舗ちもとなど人気店は行列ができることが多いため、時間に余裕を持った訪問を推奨
  • 萬翠楼福住は現役の旅館(国重文)。見学のみの場合は事前に旅館へ確認推奨


がやの実体験:箱根湯本に複数回訪問して感じた魅力

箱根湯本には、これまで何度も訪れてきました。天成園を含むいくつかのホテルに宿泊する機会に恵まれ、四季折々の箱根湯本の魅力を体感してきました。ここでは、がやが実際に訪問して感じた本音の魅力を整理してお伝えします。

ロマンスカー一本で来られる気軽さ

箱根湯本の最大の魅力は、なんといっても 東京(新宿)からロマンスカーで一本、乗り換えなしで来られる こと。これに尽きます。会社帰りや週末のちょっとした空き時間でも、新宿駅から最速73分という近さは、首都圏在住の温泉好きにとって本当にありがたい立地です。

もちろん、ロマンスカー以外にも、東京駅から東海道線で小田原まで来て、そこから箱根登山鉄道に乗り換えて箱根湯本に到着する ルートも十分に便利。料金を抑えたい方や、JRのきっぷ・特急券で来る方には、こちらも有力な選択肢になります。

このアクセスの良さこそが、箱根湯本が箱根温泉の玄関口として全国的に人気を博している、最大の理由のひとつだと感じています。

箱根湯本駅の駅名標と停車中の小田急ロマンスカー
小田急ロマンスカーの終点・箱根湯本駅。新宿から最速73分で到着する

駅前に広がる温泉街で観光が完結する

箱根湯本駅を降りると、目の前に 温泉街が広がっている のがすぐに分かります。食べ物のお店・喫茶店・レストラン が一通り揃っていて、湯本駅周辺だけで観光が完結すると言っても過言ではありません。

がやの観察では、観光客の多くは 「箱根湯本で一旦降りて観光してから、山(強羅・芦ノ湖方面)に登っていく」 というルートを取られているように見えます。一方で、箱根湯本だけで一日を終わらせる方 も多く、それで十分満足できる温泉街の充実度があります。

箱根湯本駅の外観・特徴的なアーチ屋根の駅舎
特徴的なアーチ屋根の箱根湯本駅。温泉街の玄関口として早朝から旅人を迎える
箱根湯本「ここより 滝通り温泉街」の看板
湯本駅から続く「滝通り温泉街」入口の看板。江戸期からの湯治場が現代まで続く

日帰りでも宿泊でも楽しめる柔軟性

がや自身、箱根には複数回訪問していますが、箱根湯本で来たときの定番の流れはこんな感じです:

  • 駅を降りて温泉街で食事
  • ホテルにチェックイン → 温泉
  • ホテル館内をゆっくり過ごして、また温泉

気負わずに箱根の温泉を味わえる、そして 無理に宿泊しなくても日帰りで十分楽しめる というのが、箱根湯本の強みです。電車で気軽に来て、その日のうちに温泉を味わって、温泉街で食べ歩きをして帰る ── こんな贅沢が可能なのは、首都圏で他にはなかなかない温泉地ではないでしょうか。

箱根湯本・早川河畔の紅葉(11月)
紅葉の早川河畔(11月)。秋の箱根湯本は色づく山々と渓流が織りなす風情ある景観
箱根湯本・早川河畔の夏景色(8月)
夏の早川河畔(8月)。新緑と清流が温泉街に涼を運ぶ。日帰り散策にも最適

2026年現在の混雑事情(外国人観光客増加)

最近(2026年現在)、箱根湯本を訪れて感じるのは、外国人観光客の急増 です。ロマンスカーに乗っていても、車内には外国人の姿が非常に目立ちます。

これは箱根が国際的観光地として認知されている証拠でもありますが、訪問者側としては以下のような工夫が必要になっています:

  • 混雑する場所(人気旅館・湯葉丼直吉・湯もち本舗ちもと等)は本当に混む
  • 早朝・夕方など、時間帯をずらした訪問 が快適性のカギ
  • ロマンスカーも事前予約必須の便が増えている

これから訪問される方は、時間帯と曜日を選んだ計画的な訪問 を強くおすすめします。

早朝・人がいない箱根湯本の温泉街商店街
早朝5時の湯本商店街。日中は外国人観光客で賑わうが、早朝は静寂に包まれる

よくある質問(FAQ)

Q1. 箱根湯本温泉は江戸時代の温泉番付に載っていたのですか?
A. はい。江戸時代後期の温泉番付『諸国温泉功能鑑』東-前頭2段目に 「相州湯元の湯」 として登載されています。箱根七湯の中では芦之湯(前頭1段目)に次ぐ第2位の段位ですが、街道アクセスと将軍家献上湯で実質的に箱根温泉郷の中枢として機能していました。

Q2. 開湯は誰がいつしたとされていますか?
A. 738年(天平10年)に釈浄定坊(しゃくじょうじょうぼう)が「惣湯」を発見 したと伝えられています。約1,300年の歴史を持ち、箱根七湯の最古 にあたります。湯本駅南西500mの湯本熊野神社参道に「箱根温泉発祥之地」碑が現存します。なお、別説として757年(天平宝字元年)説もあります。

Q3. 「相州湯元の湯」は神奈川県のどこですか?
A. 神奈川県足柄下郡箱根町湯本 です。「相州(そうしゅう)」は江戸時代の旧国名「相模国(さがみのくに)」の別称で、現在の神奈川県の大部分を指します。「湯元」は「温泉の元(みなもと)」の意で、箱根七湯の中心的存在として湯本がそう呼ばれてきました。

Q4. 早雲寺はどんな寺ですか?
A. 1521年(大永元年)創建の北条早雲菩提寺。臨済宗大徳寺派で、本尊は釈迦如来三尊。1590年豊臣秀吉の小田原征伐時に 秀吉の本陣 として使用され、戦火で焼失。1627年再建・1672年北条五代墓建立。国指定重要文化財「絹本淡彩北条早雲像」「織物張文台」 を所蔵する古刹で、湯本駅徒歩約15分の場所にあります。

Q5. 萬翠楼福住と塔ノ沢の福住楼は同じですか?
A. 別の旅館 です。萬翠楼福住(ばんすいろう ふくずみ)は湯本温泉にあり、1625年創業・2002年現役旅館初の国指定重要文化財。一方、福住楼(ふくずみろう)は塔ノ沢温泉にあり、夏目漱石・伊藤博文・志賀直哉等が愛した文豪の宿として知られます。混同しやすいので予約時には注意が必要です。

Q6. 東京から箱根湯本までどのくらいかかりますか?
A. 新宿駅から小田急ロマンスカーで最速73分・約2,470円 です。箱根全体観光の場合は 箱根フリーパス(新宿発2日券7,100円) が便利で、小田急電車・箱根登山鉄道・箱根登山バス・箱根海賊船・ロープウェイ・芦ノ湖遊覧船が乗り放題になります。

Q7. 泉質は何ですか?
A. 箱根湯本温泉は約6種類の泉質が混在 する稀有な温泉地です。中核は 弱アルカリ性単純温泉(pH 8〜9前後)ですが、塩化物泉・硫酸塩泉・含鉄泉など多様な源泉が共存。源泉数74本・湧出量毎分4,679L・温度幅30〜80℃ という規模で、宿によって異なる泉質を体験できる「湯比べ」の楽しさが湯本の特色です。

Q8. 湯本観光で食べ歩きおすすめは何ですか?
A. 湯本は 食べ歩き文化 が発達した温泉街で、湯本駅前商店街には:
湯もち本舗ちもと(神奈川県指定銘菓・湯もち)
湯葉丼直吉(湯葉丼御膳2,300円)
山安箱根湯本店(2025年2月リニューアル・干物)
など名店が並びます。土日祝は人気店で行列ができるため、時間に余裕を持った訪問を推奨します。

Q9. 紅葉はいつがピークですか?
A. 湯本の紅葉ピークは11月下旬〜12月初旬 です。標高96mの低地のため、箱根エリアで最も遅い 紅葉となり、芦ノ湖(10月下旬〜11月上旬)→強羅(11月上旬〜中旬)→湯本(11月下旬〜12月初旬)という順番で箱根全体の紅葉前線を最後に締めくくる立地です。

Q10. 箱根駅伝の観戦は湯本でできますか?
A. はい。箱根駅伝復路(毎年1月3日)6区(山下り) が湯本駅前商店街を通過します。例年 12:20頃 に通過するため、観戦希望者は朝から場所取りが必要。湯本宿泊と組み合わせると、宿で年越し→朝食→観戦という王道の駅伝観戦コースが楽しめます。


まとめ・関連記事

箱根湯本温泉は、738年釈浄定坊開湯の1,300年史・箱根七湯最古・江戸番付『相州湯元の湯』登載・1521年早雲寺と北条五代の戦国史・1625年萬翠楼福住の重要文化財旅館 という多層的な歴史を持つ、箱根の玄関口にあたる温泉地です。新宿から最速73分という抜群のアクセスと、源泉74本・約6種類の泉質混在という規模、そして湯もち・湯葉丼・干物といった食べ歩き文化を併せ持つ、首都圏屈指の温泉観光地です。

本記事は箱根全体の親記事「箱根温泉ガイド」(第2号)から派生する 地区別記事第1弾 として、「湯本特化」 に絞った独自視点で執筆しています。今後、箱根の他の温泉地(芦之湯・宮ノ下・塔ノ沢・姥子・木賀・底倉等)も順次派生記事化していく予定です。

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