霧島温泉郷ガイド|江戸番付『薩摩霧島の湯』・9湯49源泉と国宝霧島神宮

鹿児島県霧島市、霧島連山の南西麓の高原に湧くのが霧島温泉郷(きりしまおんせんきょう)です。標高およそ600〜850mの森のなかに、丸尾・林田・硫黄谷・栄之尾・湯之谷・関平・新湯・新川渓谷などの湯が点在し、これらを総称して「霧島温泉郷」と呼びます(鹿児島県の観光情報による)。環境省『霧島温泉 国民保養温泉地計画書』(平成29年=2017年9月時点)では、41施設で計49本の源泉が利用されていると記され、硫黄泉から単純温泉までを一度の旅で湯巡りできる、薩摩を代表する温泉地です。

「がや」は江戸末期の温泉番付『諸国温泉鑑』(弘化2年=1845年改訂版)を所有していて、そこには西方(西日本)の前頭1段目に「薩摩霧島の湯」が掲載されています。別府・雲仙・阿蘇など九州の名湯と肩を並べ、薩摩国の温泉では頭一つ抜けた格付けで江戸の湯治市場に知られていたことが分かります。明治維新の前年、坂本龍馬とお龍が湯治に訪れ「日本最初の新婚旅行とされる」逸話の舞台でもあり、令和4年(2022年)には霧島神宮の本殿・幣殿・拝殿が国宝に指定されました。

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鹿児島・霧島温泉郷 霧島連山の麓に広がる9つの湯と国宝霧島神宮
鹿児島県霧島市・霧島連山の麓に広がる霧島温泉郷

鹿児島空港に降り立ち、アクセスバスで山あいを30分。窓の外に白い噴気が立ちのぼると、もう霧島温泉郷の入口です。硫黄の香りに包まれた丸尾の湯けむり、乳白色のにごり湯、湯船から見上げる霧島連山の稜線──ここは霧島市、49本の源泉が高原に湧き続ける薩摩の名湯です。江戸の番付に「薩摩霧島の湯」と記され、坂本龍馬とお龍が傷を癒やし、国宝の朱塗り社殿が森に映える。空港から最短30分台、1泊2日でも歴史と湯と山を一度に味わえる──そんな霧島へ、本記事がご案内します。

執筆:がや|温泉ライター。全国200泊以上の温泉宿泊実績。江戸時代の温泉番付や近世地誌などの古典史料と現地調査・公的資料を突き合わせて、温泉地紹介ページを執筆しています。所有する『諸国温泉鑑』弘化2年(1845年)改訂版・鳥瞰図形式の番付を一次史料として活用しています。

この記事で分かること

  • 霧島温泉郷の規模感:丸尾を中心に9つの湯が点在・41施設49源泉(2017年環境省)・標高600〜850mの高原型温泉郷
  • アクセス・行き方:鹿児島空港からアクセスバス約30〜35分が最寄/特急きりしま「霧島神宮駅」経由/4起点経路図つき
  • 泉質と効能:硫黄泉・単純温泉・炭酸水素塩泉など多彩/一般的適応症(環境省基準)と湯巡りの楽しみ方
  • 歴史的価値:江戸番付『諸国温泉鑑』前頭1段目「薩摩霧島の湯」/坂本龍馬・お龍の湯治/国宝霧島神宮(2022年指定)
  • 宿泊・観光:個性ある湯と代表的な宿の選び方/国宝霧島神宮・高千穂峰・霧島神話の里・黒豚グルメ
あなたの目的 読みどころ 結論の要点
霧島温泉郷がどんな所か知りたい 霧島温泉郷の基本情報 9つの湯が点在する高原型温泉郷・41施設49源泉(2017年環境省)・泉質多彩
行き方と所要時間を知りたい アクセス・施設情報 鹿児島空港→アクセスバス約30〜35分が最寄/特急きりしま霧島神宮駅経由
いつ行くべきか決めたい 四季の楽しみ方 5月下旬〜6月ミヤマキリシマ/夏の登山/秋の紅葉/冬の雪見露天
歴史的価値を知りたい 歴史と一次史料 江戸番付前頭1段目「薩摩霧島の湯」/龍馬・お龍の湯治/国宝霧島神宮
周辺観光を計画したい 周辺観光・グルメ 国宝霧島神宮/高千穂峰・韓国岳/霧島神話の里/黒豚・霧島茶・本格焼酎

📑 目次

  1. 霧島温泉郷の基本情報
  2. アクセス・施設情報
  3. モデル旅程|9湯巡りと国宝霧島神宮
  4. 四季の楽しみ方|ベストシーズン
  5. 泉質と効能
  6. 霧島市のふるさと納税
  7. 9つの湯の特徴と代表的な宿
  8. 周辺観光|国宝霧島神宮と高千穂峰
  9. 霧島のグルメ|黒豚・霧島茶・本格焼酎
  10. 宿泊施設の選び方
  11. 歴史と一次史料|番付・龍馬・国宝霧島神宮
  12. よくある質問(FAQ)
  13. まとめ
  14. 出典・参考情報

霧島温泉郷の基本情報

霧島温泉郷の俯瞰・丸尾を中心に湯けむりが立ちのぼる高原
高原に湯けむりが立つ霧島温泉郷(丸尾エリア周辺)

霧島温泉郷は、鹿児島県霧島市牧園町を中心に、丸尾・林田・硫黄谷・栄之尾・湯之谷・関平・新湯・新川渓谷などの湯が点在する温泉地の総称です(鹿児島県の観光情報による)。中心となるのは標高約700mの丸尾温泉で、観光案内所やみやげ店、大小の旅館・ホテルが集まる温泉郷の玄関口になっています。湯の数だけ雰囲気も異なり、観光客でにぎわう丸尾から、噴気のなかの一軒宿、飲泉で知られる鉱泉地まで、目的に合わせて選べるのが大きな魅力です。

宿の取りまとめは霧島温泉郷観光協会が担い、旅館・ホテル・公衆浴場・日帰り入浴施設が郷内に分布しています。源泉の規模は前述のとおり、環境省の計画書(2017年9月時点)で41施設・49源泉。1か所の温泉街に宿が密集するタイプではなく、車で数分〜十数分の範囲に湯が散らばる「高原ドライブ型」の温泉郷である点が、計画を立てるうえでの最初のポイントになります。

項目 内容
温泉郷名 霧島温泉郷(きりしまおんせんきょう)
所在地 鹿児島県霧島市牧園町ほか(霧島連山南西麓)
構成する主な湯 丸尾・林田・硫黄谷・栄之尾・湯之谷・関平・新湯・新川渓谷など
源泉・施設 41施設・49源泉(環境省『国民保養温泉地計画書』2017年9月時点)
主な泉質 硫黄泉・単純温泉・炭酸水素塩泉ほか(湯により多彩)
標高 約600〜850m(丸尾は約700m)
最寄駅・最寄空港 JR日豊本線「霧島神宮駅」/鹿児島空港(最寄・アクセスバス直行)
観光案内 霧島温泉郷観光協会(丸尾)

訪問前にチェックしたい4つのポイント

霧島温泉郷を計画するうえで押さえておきたいのは次の4点です。①宿が9つの湯に分散しているため、まず滞在エリア(丸尾・新湯・湯之谷など)を決めること。②泉質が湯ごとに大きく違うため、硫黄のにごり湯を狙うのか、やわらかな単純温泉でくつろぐのかを意識すること。③国宝霧島神宮・高千穂峰など見どころが車移動前提であること。④標高が高く朝晩は冷えるため、夏でも羽織り物、冬は防寒と路面情報の確認をしておくこと。この4点を先に決めておくと、霧島の旅は一気に組み立てやすくなります。

アクセス・施設情報

項目 内容
所在地 鹿児島県霧島市牧園町(丸尾温泉ほか)
観光案内 霧島温泉郷観光協会(丸尾)
最寄駅 JR日豊本線「霧島神宮駅」(特急きりしま停車)
最寄空港 鹿児島空港(アクセスバスで温泉郷へ直行・最寄)
空港から 鹿児島空港→霧島温泉郷 アクセスバス約30〜35分/車約40分
駅から温泉郷 霧島神宮駅→丸尾・各湯 いわさきバス・鹿児島交通で約25〜40分
標高 約600〜850m(丸尾は約700m)
温泉施設 旅館・ホテル・公衆浴場・日帰り入浴施設が9つの湯に分布

アクセス経路図

霧島温泉郷へは、博多・新大阪・鹿児島中央の3起点からは特急きりしまで「霧島神宮駅」へ、鹿児島空港からはアクセスバスで温泉郷へ直行するのが基本です。最寄・最速は鹿児島空港からのアクセスバス(約30〜35分)で、飛行機利用ならこのルートが圧倒的に便利です。鉄道なら鹿児島中央から特急きりしまで霧島神宮駅へ出て、路線バスまたは宿の送迎で温泉郷へ入ります。

霧島温泉郷 アクセス経路図(博多駅・新大阪駅・鹿児島中央駅・鹿児島空港の4起点→霧島神宮駅→霧島温泉郷) 霧島温泉郷 アクセス経路図(4起点→霧島神宮駅→温泉郷) 博多駅 新大阪駅 鹿児島中央駅 鹿児島空港 (最寄) 新幹線みずほ+特急きりしま 約2時間30分 新幹線みずほ+特急きりしま 約4時間50分 特急きりしま 約50〜70分 霧島神宮アクセスバス 約30〜35分(最寄) 霧島温泉郷 いわさきバス 約25〜40分 最寄・最速:鹿児島空港→霧島温泉郷はアクセスバス約30〜35分(車なら丸尾まで約40分)。 鉄道:博多→鹿児島中央(新幹線みずほ最速約1時間17分)→特急きりしま→霧島神宮駅。 霧島神宮駅から丸尾・各湯へはいわさきバス・鹿児島交通で約25〜40分。宿の送迎は要事前予約。

温泉郷の中では湯と湯が離れているため、レンタカーがあると湯巡り・観光の自由度が大きく上がります。鹿児島空港・霧島神宮駅周辺にレンタカー営業所があります。運転しない場合は、丸尾を拠点に路線バスと宿の送迎を組み合わせ、滞在エリアを絞るのがおすすめです。

📢 アクセスが分かったら、宿の空室・料金もチェック

霧島温泉郷は9つの湯に宿が分散し、空港・駅からの距離もエリアで変わります。まずはどのあたりに泊まるか、空室と料金を見比べておくと旅程が固まります。

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モデル旅程|9湯巡りと国宝霧島神宮

国宝に指定された霧島神宮の朱塗りの社殿
2022年に国宝指定された霧島神宮の社殿

霧島温泉郷は範囲が広く、見どころも温泉も点在しているため、欲張りすぎず2〜3か所に絞るのが満足度を上げるコツです。下のモデル旅程は、初めての霧島で「国宝霧島神宮+湯巡り」を軸に組んだ一例です。レンタカー利用を前提にしています。

旅程 プラン 主なスポット
1日目 昼 鹿児島空港着 → アクセスバスで丸尾へ → 霧島神宮を参拝 → 丸尾の滝を散策 → 宿にチェックイン → 夕食後ににごり湯の露天風呂 国宝霧島神宮・丸尾の滝
2日目(1泊2日終) 朝風呂 → 霧島神話の里公園で展望リフト → 霧島温泉市場で食事・みやげ → 午後 鹿児島空港へ 霧島神話の里公園
2日目(2泊3日) 高千穂河原ビジターセンター → 体力に応じて高千穂峰へ登山(または周辺散策) → 別エリア(新湯・湯之谷など)の湯へ移動して連泊 高千穂峰・新湯温泉
3日目 関平鉱泉で名水・飲泉体験 → 霧島連山ドライブ → 黒豚ランチ → 鹿児島空港・霧島神宮駅へ 関平鉱泉・霧島連山

9つの湯をすべて巡るのは2泊3日でも難しいため、丸尾(観光の拠点)・新湯(硫黄のにごり湯)・湯之谷(静かな湯治)のように性格の違う2〜3湯を選ぶと、霧島の幅広さを効率よく体験できます。

四季の楽しみ方|ベストシーズン

霧島温泉郷のシンボル・丸尾の滝
温泉水を含むといわれる丸尾の滝

標高600〜850mの高原に位置するため、霧島温泉郷は四季の表情がはっきりしています。狙いどきを押さえておきましょう。

春(5月下旬〜6月上旬)は、霧島連山を彩る固有種ツツジ「ミヤマキリシマ」の開花期。山肌が淡いピンクに染まり、登山と温泉を組み合わせる人で一年でもっともにぎわう時期です。夏(7〜8月)は高千穂峰・韓国岳の登山やハイキングのベストシーズンで、高原のため平地より過ごしやすいのも魅力。秋(10〜11月)は霧島神宮の杉木立と紅葉、湯けむりの取り合わせが美しく、冬(12〜2月)は雪見の露天風呂と、桜島大根・黒豚など薩摩の冬の味覚が楽しめます。

冬は積雪自体は多くありませんが、朝晩の冷え込みが厳しく、路面が凍結することもあります。レンタカー利用の場合は冬用タイヤ・チェーンの有無や道路情報を事前に確認しておくと安心です。

泉質と効能

噴気が立ちのぼる硫黄谷の地獄(源泉地帯)
白い噴気が立ちのぼる硫黄谷の源泉地帯

霧島温泉郷の最大の特徴は、湯ごとに泉質がはっきり違うことです。火山活動由来の硫黄泉(新湯・硫黄谷など)の乳白色のにごり湯、肌あたりのやわらかな単純温泉、飲泉でも親しまれる炭酸水素塩泉系の鉱泉(関平など)まで、ひとつの温泉郷の中で何種類もの湯を味わえます。これが「湯巡りの霧島」と呼ばれるゆえんです。

一般的適応症(温泉法・環境省の基準による)としては、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症、自律神経不安定症、不眠症、ストレスによる諸症状などが挙げられます。硫黄泉は皮膚の状態への働きかけ、炭酸水素塩泉は飲泉による胃腸への働きかけが知られ、関平の鉱泉は明治期から飲泉文化が根づいてきました。

医学的な効能を断定することはできませんが、泉質の異なる湯をはしごできる霧島は、温泉そのものを目的にする旅にとても向いています。なお、各施設の利用形態(かけ流し・循環ろ過・加水・加温など)は湯によって異なるため、泉質や入浴方法にこだわる場合は宿・施設へ事前に確認するのが確実です。

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硫黄のにごり湯か、やわらかな単純温泉か。狙いの泉質が決まったら、その湯に泊まれる宿の空室と料金を早めに押さえておきましょう。人気の湯はハイシーズンに満室になりやすいエリアです。

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9つの湯の特徴と代表的な宿

鹿児島県の観光情報では、霧島温泉郷は新湯・湯之谷・関平・栗川・野々湯・丸尾・林田・硫黄谷・殿湯の9つの湯の総称とされます(資料により栄之尾・新川渓谷などを含めて数える場合もあります)。湯ごとに泉質も雰囲気も大きく異なるため、ここでは旅行者が利用しやすい主な湯を、その性格とともにまとめました。滞在の目的に合わせて選んでください。

湯の名前 特徴
丸尾温泉 温泉郷の中心。観光案内所・みやげ店・大小の宿が集まる玄関口。丸尾の滝が近い
硫黄谷温泉 正徳4年(1714年)開湯と伝わる古湯。庭園大浴場で知られる霧島ホテルが立つ
林田温泉 中心部に近く、規模のある宿が点在するエリア
栄之尾温泉 龍馬・お龍も立ち寄ったと伝わる、歴史を持つ湯
湯之谷温泉 静かな湯治の雰囲気。純温泉協会の認定を受けた一軒宿がある
新湯温泉 乳白色の硫黄泉で知られる秘湯感のあるエリア。一軒宿の新燃荘が立つ
関平温泉(関平鉱泉) 飲泉・名水で知られる鉱泉地。市営の公衆浴場があり、宿泊施設はなし
新川渓谷温泉 渓谷沿いの湯。露天風呂やレトロな共同湯が点在

代表的な宿としては、丸尾の高台に立つ旅行人山荘(大正6年=1917年創業)、純温泉協会の認定を受けた霧島湯之谷山荘、新湯の乳白色硫黄泉の一軒宿霧島新燃荘、泥湯で知られるさくらさくら温泉などがあります。なお、かつて新湯エリアにあった大型ホテル「霧島いわさきホテル」は2017年11月6日に営業を終了しています。古い情報では現役施設として紹介されていることがあるため、予約サイトで現在の営業状況を確認してください。

周辺観光|国宝霧島神宮と高千穂峰

天孫降臨の伝承が残る高千穂峰
天孫降臨の伝承が残る高千穂峰(標高1,574m)

霧島温泉郷を拠点に巡れる主な観光地です。いずれも車移動が基本になります。

観光地 温泉郷(丸尾)から 主な見どころ
国宝 霧島神宮 車約15分 1715年再建の朱塗り社殿・2022年国宝指定
高千穂峰 登山口(高千穂河原)まで車約30分 標高1,574m・天逆鉾の伝承
韓国岳 えびの高原まで車約30分 標高1,700m・霧島連山の最高峰
霧島神話の里公園 車約10分 展望リフト・天孫降臨伝承・絶景
桜島・鹿児島市街 車約1時間 桜島フェリー・西郷ゆかりの史跡

とくに国宝・霧島神宮は霧島観光の中心。森のなかに立つ朱塗りの社殿は「西の日光」とも称され、湯上がりの散策にぴったりです。体力に余裕があれば、天孫降臨の伝承が残る高千穂峰へ。山頂の「天逆鉾」を目指す登山は人気ですが、火山であり気象も変わりやすいため、装備と最新の規制情報を確認して臨んでください。

霧島のグルメ|黒豚・霧島茶・本格焼酎

温泉とあわせて楽しみたいのが、薩摩・霧島の味覚です。代表格は鹿児島黒豚。しゃぶしゃぶやとんかつで、やわらかな肉質と甘い脂を堪能できます。霧島の高原は霧島茶の産地としても知られ、すっきりとした緑茶はみやげにも好適です。

夜は本格芋焼酎を。霧島周辺には全国的に知られる蔵元が複数あり、湯上がりの一杯に地元の銘柄を選ぶのも旅の醍醐味です。さらに、宮崎県境に近い立地から地鶏の炭火焼を出す店も多く、冬は桜島大根を使った郷土料理も登場します。丸尾の「霧島温泉市場」では、源泉の蒸気で蒸した温泉たまご・蒸し野菜を手軽に味わえます。

宿泊施設の選び方

霧島温泉郷の宿選びは、「どの湯(エリア)に泊まるか」を先に決めるのが成功のコツです。観光の拠点にしたいなら案内所やみやげ店が集まる丸尾、硫黄のにごり湯を味わいたいなら新湯、静かに湯治気分を味わいたいなら湯之谷、というように、目的から逆算するとミスマッチが減ります。

宿のタイプも、庭園大浴場のある大規模ホテルから、純温泉協会の認定を受けた一軒宿、渓谷沿いの素朴な湯宿までさまざまです。露天風呂付き客室や貸切風呂、宿の送迎の有無、日帰り入浴の受付時間などは宿ごとに条件が異なるため、予約サイトで実際のプラン・料金・口コミを見比べるのが結局いちばんの近道です。人気の湯やハイシーズンは早めに埋まるので、日程が決まったら早めの確保をおすすめします。

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丸尾・新湯・湯之谷など、霧島はエリアごとに湯も雰囲気も変わります。楽天トラベルとじゃらんnetを併用すると、エリア・予算・客室タイプから効率よく宿を探せます。

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歴史と一次史料|番付・龍馬・国宝霧島神宮

霧島温泉郷の魅力は湯だけではありません。江戸の温泉番付に記された格付け、幕末の英傑の湯治、そして国宝の社殿──歴史の厚みが、この温泉郷をいっそう味わい深いものにしています。一次史料にあたりながら、3つの軸で整理します。

江戸番付『諸国温泉鑑』前頭1段目「薩摩霧島の湯」

「がや」が所有する江戸末期の温泉番付『諸国温泉鑑』(弘化2年=1845年改訂版)には、西方(西日本)の前頭1段目に「薩摩霧島の湯」が掲載されています。これはマザーとなる番付資料、所有する弘化2年改訂版の読み取り、後年の嘉永4年(1851年)版という3つの史料で確認でき、別府・雲仙・阿蘇・山鹿といった九州の名湯と並ぶ位置づけです。薩摩国の温泉のなかでは抜きん出た格付けで、江戸期の湯治市場で霧島の名がすでに広く知られていたことを示しています。

坂本龍馬・お龍が訪れた湯

慶応2年(1866年)、寺田屋事件で負傷した坂本龍馬は、西郷隆盛らの勧めで妻のお龍とともに薩摩へ下り、霧島一帯の湯で傷を癒やしました。塩浸の湯に長く滞在し、栄之尾・硫黄谷などにも立ち寄り、二人で高千穂峰に登って山頂の天逆鉾を引き抜いた、というエピソードが伝わります。この旅は、のちに「日本最初の新婚旅行」とされることが多い逸話です。

その根拠とされるのが、龍馬が姉の乙女に宛てた慶応2年12月4日付の書簡です。霧島の湯や高千穂峰の雄大さが、絵まで添えていきいきと綴られています。この書簡は現在重要文化財に指定され、京都国立博物館が所蔵しています(縦約25cm×横約169.1cmの絵入りの長文書簡)。霧島温泉郷が、一次史料に裏づけられた幕末ゆかりの地であることが分かります。

2022年 国宝に指定された霧島神宮

霧島神宮の現在の社殿は、正徳5年(1715年)に薩摩藩主・島津吉貴の寄進で再建されたものです。総朱塗りに銅板葺きの本殿・幣殿・拝殿が森のなかに映え、その荘厳さから「西の日光」とも称されてきました。

これらの社殿は、令和4年(2022年)2月9日に国宝に指定されました。鹿児島県内の建造物が国宝に指定されたのはこれが初めてのことです。また、登廊下は平成元年(1989年)5月19日付で重要文化財に指定されています。約300年を超えて受け継がれてきた社殿が国宝という最高位の評価を受けたことは、霧島観光にとって大きな出来事でした。湯巡りとあわせて、ぜひ参拝したいスポットです。

よくある質問(FAQ)

質問 回答
日帰り入浴はできますか? 多くの湯に日帰り入浴施設・受付があります。料金・受付時間は施設ごとに異なるため事前確認がおすすめです。
9つの湯すべてを巡るには何泊必要ですか? 2泊3日で2〜3湯、3泊以上で4〜5湯程度が現実的です。性格の違う湯を選ぶと満足度が上がります。
レンタカーは必要ですか? 湯と観光地が点在するため、レンタカーがあると便利です。運転しない場合は丸尾を拠点に路線バス・宿の送迎を活用しましょう。
空港からのアクセスは? 鹿児島空港からアクセスバスで温泉郷へ直行、約30〜35分が最寄・最速です。
宿の送迎はありますか? 多くの宿が事前予約で送迎に対応しています。予約時に発着場所・時間を確認してください。
冬は雪が積もりますか? 標高が高く積雪することもあります。朝晩の冷え込みが厳しいため、防寒と路面・道路情報の確認を。
霧島神宮の参拝料はかかりますか? 参拝自体は無料です。本殿内でのご祈祷は別途初穂料がかかります。
子ども連れでも楽しめますか? 霧島神話の里公園や家族向けの宿があり、世代を問わず楽しめます。
楽天トラベルとじゃらん、どちらが安いですか? プランや時期で異なります。両サイトを併用して比較するのが確実です。
高千穂峰の登山と組み合わせられますか? 1泊2日でも可能ですが、2泊以上だと余裕を持って楽しめます。気象・規制情報の確認を忘れずに。

まとめ

霧島温泉郷は、丸尾を中心に9つの湯が点在し、41施設・49源泉(2017年環境省)から硫黄泉・単純温泉・炭酸水素塩泉など多彩な湯を一度の旅で味わえる、薩摩を代表する高原型の温泉地です。江戸番付『諸国温泉鑑』前頭1段目「薩摩霧島の湯」の格付け、坂本龍馬とお龍が傷を癒やした湯治の歴史、そして2022年に国宝指定された霧島神宮──温泉・歴史・自然がそろう、何度でも訪れたくなる目的地です。

鹿児島空港からアクセスバスで約30〜35分と、空路でのアクセスも良好。宿は9つの湯に分散しているので、まずは泊まりたいエリアを決め、空室と料金を比較するところから旅づくりを始めてみてください。

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出典・参考情報

  • 環境省『霧島温泉 国民保養温泉地計画書』(平成29年=2017年9月時点・41施設49源泉)
  • 霧島市公式観光サイト/霧島温泉郷観光協会
  • 鹿児島県 観光情報(霧島温泉郷を構成する湯の総称)
  • 文化庁「国宝・重要文化財(建造物)」霧島神宮 本殿・幣殿・拝殿(令和4年=2022年2月9日国宝指定/登廊下 平成元年重要文化財)
  • 京都国立博物館 蔵「坂本龍馬書簡(慶応2年12月4日付・坂本乙女宛)」重要文化財
  • 温泉番付『諸国温泉鑑』弘化2年(1845年)改訂版(執筆者所蔵)ほか
  • 純温泉協会 認定情報/各宿・各施設の公式情報
  • 環境省「温泉法に基づく一般的適応症」

執筆:がや

温泉ライター。全国200泊以上の温泉宿泊実績。江戸期の温泉番付『諸国温泉鑑』弘化2年(1845年)改訂版を一次史料に、古典史料と公的資料・現地情報を突き合わせて温泉地紹介ページを執筆しています。

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