米沢の市街地から車でわずか15分。谷あいの道をさかのぼった先に、木立に抱かれるようにして一軒の宿が佇んでいます。山形県米沢市の湯の沢温泉、一軒宿「時の宿すみれ」です。
がやが今回ご紹介するのは、江戸時代の温泉番付にその名を残しながら、いまは「おふたり様専用」というただならぬ看板を掲げる、ちょっと特別な温泉地。テレビも時計もない全10室の客室、加温かけ流しでやわらかく仕立てられた単純温泉、オープンキッチンで仕上げられる米沢牛の創作懐石——「温泉地」というより「時間の使い方を変えに行く場所」と呼びたくなります。
そんな湯の沢温泉の魅力を、歴史から湯づかい、アクセス、周辺の楽しみまで、たっぷりご紹介します。
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📌 この記事で分かること
- 湯の沢温泉がどんな湯か(米沢八湯の古湯・単純温泉のやわらかいかけ流し・おふたり様専用の時の宿すみれ)
- 江戸の温泉番付に載る歴史と、平安末期の猿の開湯伝説・関根金山の物語
- 4つの湯や米沢牛の創作懐石など、時の宿すみれでの過ごし方
- 米沢駅から車15分・無料送迎・新幹線でのアクセスと、冬に訪ねるときの注意点
- 上杉神社など周辺観光と、米沢牛・米沢ラーメンといったご当地グルメ
📑 目次
湯の沢温泉ってどんなところ?
湯の沢温泉は、山形県米沢市の関根地区、木立に囲まれた谷あいに、たった1軒だけたたずむ宿の温泉です。宿の名前は「時の宿すみれ」。米沢の市街地から車で15分ほどという近さでありながら、宿のまわりは木立に囲まれていて、車を降りた瞬間に空気の質が変わったことに気づくはずです。街の音が遠のいて、川の気配と葉ずれの音だけが残る。この「近いのに深い」という感覚こそ、がやが湯の沢温泉をおすすめしたい一番の理由かもしれません。
そして湯の沢温泉を語るうえで外せないのが、宿のあり方です。時の宿すみれは「おふたり様専用」の宿。大人数の宴会も、にぎやかな団体旅行もここにはありません。客室は全10室、しかもすべての部屋にテレビと時計が置かれていないという徹底ぶりです。最初に聞いたとき、がやは「時計がないのは不便では?」と思ったのですが、考えてみればこれは宿からのメッセージなのだと思います。時間を確認しない、情報を追わない、ただ目の前の人と湯と食事に向き合う。そのための舞台装置として、湯の沢温泉という静かな環境がある、というわけです。
温泉そのものは、江戸時代の温泉番付『諸国温泉功能鑑』にも載る古湯。開湯には平安末期の猿の伝説が伝わり、裏山の関根金山の中腹から湧く源泉が、いまも各浴槽にかけ流しで注がれています。歴史ある湯を、現代的な感性で磨き上げた一軒宿。それが湯の沢温泉です。
ひとことで整理すると、湯の沢温泉は「①米沢八湯に数えられる古湯/②米沢の市街から車15分の一軒宿/③木立に囲まれた静かな谷あい/④おふたり様専用の時の宿すみれ」——この四つがそろった、ちょっと特別な温泉地です。以下、その中身をひとつずつ見ていきましょう。
江戸の温泉番付に載る古湯
湯の沢温泉の歴史をさかのぼると、江戸時代の温泉番付『諸国温泉功能鑑』に行き当たります。温泉番付とは、相撲の番付に見立てて全国の温泉を格付けした江戸期の刷り物のこと。当時の人々にとっては、いわば「温泉ガイドブック」と「ランキング」を兼ねた存在でした。名だたる名湯がひしめくその紙面に、米沢の山あいの小さな湯が名を連ねていた──宿自身がこの掲載を記録として大切に伝えているのですが、これはなかなかすごいことだとがやは思います。
じつはこの番付、正確には「米沢湯沢(よねざわゆざわ)の湯」と刷られています。米沢に「湯沢」という温泉は今は見当たらず、長らく“正体不明”の一湯でした。がやの読み解きはこうです——「湯沢」は「湯の沢」の略。「の」の一字を省いて彫った、と考えれば、米沢市関根の湯の沢温泉にすんなり符合します。版元はほかの項目ではきちんと「湯沢」の字を彫れているので、これは誤記ではなく“略記”とみるのが自然です。
決め手は、温泉のほうが自ら残していた記録でした。時の宿すみれは自館の湯について「江戸時代の諸国温泉功能鑑に、東の前頭・三段目、左から四番目として掲載されていた」と伝えています(出典:時の宿すみれ公式(番付掲載と開湯伝説の記録))。がやが番付の紙面で確かめた「米沢湯沢の湯」の位置も、まさに東方・前頭三段目。段も東西もぴたりと重なります。宿の側も「あの番付の湯は、うちのことだ」と分かっていた——ここまで揃えば、米沢湯沢の湯=湯の沢温泉で間違いなさそうです(確信度・高)。強いて宿題を挙げるなら、早稲田大学が蔵する番付の原本で「米沢湯沢」の四文字を画像で確かめられれば、これで完璧です。
番付に載るということは、その湯の評判が江戸まで届いていたということ。交通網も情報網もいまとは比べものにならない時代に、湯治客の口づてで「米沢の奥に良い湯がある」と伝わっていったのでしょう。深い雪に閉ざされる冬を越え、春になれば湯を求めて人が歩いてやってくる。そんな光景を想像しながら湯に浸かると、自分もその長い列の末尾に連なっているような、不思議な感覚になります。
いまの時の宿すみれは、モダンで洗練された宿です。けれどその足元には、江戸の湯治客たちが確かめた湯の実力が横たわっている。新しさと古さが地続きになっているところが、湯の沢温泉の奥行きです。
泉質と湯づかい
湯の沢温泉の泉質は、単純温泉(低張性・中性・低温泉)。お湯は無色透明で、源泉の温度は約27℃と低めです。源泉が湧いているのは、宿の裏山にあたる関根金山の中腹。かつて金を産した山の懐から、いまは澄んだ湯が湧き続けているというのも、味わい深い話です。
源泉温度が低い「低温泉」なので、そのままでは入浴に適しません。そこで時の宿すみれでは、源泉を加温したうえで各浴槽にかけ流しています。「加温」と聞くと少し残念に感じる方もいるかもしれませんが、がやはむしろ逆だと考えています。循環させて使い回すのではなく、加温という一手間をかけてでも、新しい源泉を注ぎ続けるかけ流しを選んでいる。低温泉の宿としては、誠実な湯づかいだと思うのです。
単純温泉は成分が濃すぎないぶん、肌への刺激が少なく、湯あたりしにくいとされます。適応症としては、リウマチ性の疾患や神経痛、運動器の障害、皮膚の症状、病後の回復期や疲労回復などに良いとされてきました。強烈な個性で圧倒するタイプの湯ではなく、静かに長く付き合えるタイプの湯。無色透明のやわらかな湯にゆっくり浸かって、気づけば眉間の力が抜けている──そんな入り方が似合う温泉です。何度も湯に入り、部屋で休み、また入る。おふたり様専用の宿の滞在スタイルと、この優しい泉質は、じつに相性が良いのです。
4つの湯を楽しむ
時の宿すみれには、性格の異なる4つの浴場があります。全10室の宿に4つの湯処というのは、かなり贅沢な比率です。滞在中に時間帯を変えながら巡れば、同じ湯なのに違う表情に出会えます。
- 大浴場「森と風の湯」──オープンデッキを備えた内風呂。窓の外に森が広がり、風の通り道を感じながら湯に浸かれます。
- 大浴場「時と光の湯」──露天風呂付きの内風呂。移ろう光を浴びながらの湯浴みは、時計のないこの宿らしい時間の感じ方を教えてくれます。
- 貸切露天風呂「木漏れ日の湯」──名前のとおり、木立を透かして落ちる光を独り占めできる露天。
- 貸切露天風呂「せせらぎの湯」──川の気配を近くに感じる露天。水音をBGMに、ふたりだけの湯時間が流れます。
注目したいのは、貸切露天が2つも用意されていること。おふたり様専用の宿ですから、「誰にも気兼ねなく、ふたりで湯に浸かる」という体験がちゃんと設計されているわけです。朝は「森と風の湯」で目を覚まし、昼下がりに「木漏れ日の湯」を貸し切り、夕暮れは「時と光の湯」の露天で空の色が変わるのを眺め、夜は「せせらぎの湯」で水音に耳を澄ます。がやなら、そんなふうに一日で4つの湯を巡る計画を立てたくなります。やわらかい単純温泉だからこそ、こういう「湯のはしご」が無理なく楽しめるのです。なお宿泊せずとも、2日前までの予約で米沢牛ランチと温泉を楽しめる「日帰り会食プラン」(8,800円〜・税別/11:30〜14:30、ラストオーダー14:00・2名〜)が利用できます(温泉のみの立ち寄りはできません)。
おふたり様専用の一軒宿・時の宿すみれ
時の宿すみれの最大の個性は、なんといっても「おふたり様専用」であること。夫婦、恋人、母娘、親子、気の合う友人同士──組み合わせは自由ですが、泊まれるのは二人連れだけ。この割り切りが、宿全体の空気を決定づけています。ロビーにも廊下にも浴場にも、団体客のざわめきは存在しません。すれ違うのは、同じように静けさを求めてきた二人連れだけです。
客室は全10室。そのすべてが異なるデザインで設えられていて、部屋ごとに違う趣が楽しめます。そして前述のとおり、どの部屋にもテレビと時計がありません。最初の1時間は落ち着かないかもしれません。スマホに手が伸びるかもしれません。でも、湯に一度浸かって、窓の外の木立を眺めているうちに、だんだん「時間を確認する必要」そのものが消えていきます。お腹が空いたら食事、眠くなったら眠る。日常では失われがちな、体の声に従う過ごし方を取り戻せるのが、この宿の本当の価値だとがやは思います。
料金は平日2食付きで2万円台前半から(時期・プランにより変動します)。米沢牛の懐石が付いてこの水準ですから、記念日や節目の旅の候補として、十分に検討に値する価格帯です。「二人の時間を仕立て直す」ための投資と考えると、むしろ得がたい選択肢に思えてきます。
米沢牛の創作懐石

時の宿すみれの夕食は、米沢牛をメインに据えた創作懐石です。米沢牛といえば、日本三大和牛のひとつに数えられるブランド牛。その本場・米沢で、しかも懐石仕立てでいただけるのですから、食を目当てに宿を選ぶ人にとっても本命級の一軒です。
楽しいのは、メインの調理法をステーキ・すき焼き・しゃぶしゃぶの三つから選べること。がっつり肉の焼き香を楽しみたい日はステーキ、甘辛い割り下で米沢牛の脂を味わい尽くしたいならすき焼き、肉そのものの繊細さと向き合いたいならしゃぶしゃぶ。二人で別々の調理法を選んで少しずつ交換する、なんて楽しみ方も、おふたり様専用の宿ならではです。
さらにこの宿、調理の様子が見えるオープンキッチンを備えています。料理が仕上がっていく音や香りごと味わう夕食は、配膳されるだけの食事とはまるで臨場感が違います。目の前で火が入っていく米沢牛を待つ時間も、ごちそうのうち。食事そのものが、その夜いちばんのエンターテインメントになる──そういう設計なのだと思います。地酒を一杯合わせれば、米沢の夜は完璧です。
開湯伝説と関根金山
湯の沢温泉の始まりには、心惹かれる伝説が残されています。時は平安の末。深手を負った一匹の猿が、山あいに湧く湯で傷を癒しているのを、源義経の家臣が見つけた──それがこの湯の発見だと伝わっているのです。義経主従が奥州へ落ちていく物語と重なる時代設定に、東北の山道を行く一行の姿が思い浮かびます。具体的な年までは特定できませんが、平安末期からの湯と伝わるなら、およそ八百年を超える歳月をこの湯は湧き続けてきたことになります。
傷ついた動物が湯で体を癒すのを人が見て温泉を知る、という発見譚は各地の古湯に伝わるものですが、湯の沢の場合、肌の症状に良いとされてきたことと伝説の筋書きがどこか響き合っているのが面白いところです。「傷ついた猿が癒えた湯」という物語は、やわらかなこの湯の性格をよく言い当てているように思えます。
もうひとつ、この温泉の背景として覚えておきたいのが関根金山の存在です。源泉は宿の裏山、関根金山の中腹から湧出しています。かつて金を産した山が、いまは湯を恵んでくれている。義経伝説と金山と温泉。ひなびた山あいの一軒宿の足元に、これだけの物語が層をなして眠っているのです。湯に浸かりながら裏山の方角に思いを馳せる時間は、この温泉ならではの楽しみだとがやは思います。
米沢八湯のなかの湯の沢

米沢の奥座敷には「米沢八湯」と呼ばれる八つの温泉地があります。小野川・白布・新高湯・湯の沢・大平・姥湯・滑川・五色。歴史ある湯町から山奥の秘湯まで、性格の異なる八つの湯が米沢の山々に点在していて、温泉好きにとって米沢は「八湯めぐり」の楽しみが待つ土地なのです。
そのなかで湯の沢温泉はどんな立ち位置かというと、がやの整理では「いちばん街に近く、いちばん通年で頼れる一湯」です。姥湯や滑川、大平といった秘湯勢は山深くにあり、たどり着くこと自体が旅の醍醐味である一方、冬は雪に閉ざされて休業してしまいます。それに対して湯の沢は、米沢駅から車15分という近さ。豪雪の米沢にあって、冬でも無理なく訪ねられる貴重な存在です。
「秘湯の野趣」で勝負する湯ではなく、「静けさの質」と「滞在の密度」で勝負する湯。八湯それぞれに役割があるとすれば、湯の沢は、二人の記念日や、心身を立て直したいときに選ぶ湯だと言えます。八湯めぐりの拠点としても優秀で、湯の沢に泊まって、日中に小野川や白布へ足を延ばす、という組み立ても可能です。米沢八湯という群像のなかに置いてみると、湯の沢温泉の個性はいっそうくっきり見えてきます。
アクセス(米沢駅から車15分)
湯の沢温泉へのアクセスは、拍子抜けするほど簡単です。基点はJR米沢駅。ここから車で約15分、谷あいの道を上流へ向かえば、木立の中に時の宿すみれが現れます。「山の一軒宿」と聞いて覚悟するような長い山道はありません。
首都圏からなら、東京駅から山形新幹線(福島駅で東北新幹線から分岐)で米沢駅まで約2時間15分。乗り換えなしの一本で着くのは大きな魅力です。米沢駅からは宿の無料送迎が利用できます。送迎は米沢駅14時20分発、帰りは宿を11時発という設定で、いずれも予約が必要です。この時刻を軸に旅程を組めば、車がなくてもまったく問題ありません。東京を昼前に出て、14時20分の送迎に乗り、15時前にはもう湯に浸かっている──そんな身軽な温泉旅が成立します。
車の場合は、東北中央自動車道の米沢八幡原ICから約10分。高速を降りてからの近さも特筆ものです。宿には無料駐車場が15台分用意されています。なお、地図上の最寄り駅はJR奥羽本線の関根駅なのですが、公共交通で訪ねるなら列車の本数や送迎の面で米沢駅を基点にするのが現実的です。新幹線+送迎の組み合わせが、いちばんストレスのないルートだとがやは思います。
📢 アクセスを確認できたら、宿の空室・料金もチェック
米沢の谷あいにたたずむ、おふたり様専用の一軒宿・時の宿すみれ。空室と料金は時期で変わるため、まずは各サイトで見比べてみてください。
住所・基本情報
湯の沢温泉「時の宿すみれ」の住所・電話番号・駐車場などの基本情報を、以下の表にまとめました。予約や問い合わせの際にお使いください。
| 名称 | 湯の沢温泉 時の宿すみれ |
|---|---|
| 所在地 | 山形県米沢市関根12703-4 |
| 電話 | 0238-35-2234(受付9:30〜21:30) |
| 泉質 | 単純温泉(低張性・中性・低温泉) |
| 駐車場 | 無料・15台(予約不要) |
| アクセス | 米沢駅から車15分・無料送迎あり/米沢八幡原ICから約10分 |
周辺の見どころ


湯の沢温泉の立地の良さは、観光面でも効いてきます。車で15分ほど走れば米沢の中心部。ここには上杉家ゆかりの見どころが集まっています。まず訪ねたいのが、米沢城跡に整備された松が岬公園。堀に囲まれた城跡の一角に建つ上杉神社は、戦国の名将・上杉謙信を祀る神社で、江戸期の名君として知られる上杉鷹山ともゆかりの深い場所です。「なせば成る」の鷹山の精神に触れてから宿に戻ると、静かな夜の読書ならぬ「読史」がはかどります。
歴史をもう一歩深く知りたいなら、米沢市上杉博物館(伝国の杜)へ。上杉家の歴史と文化を体系的に学べる施設で、雨の日や雪の日の行き先としても頼りになります。城跡・神社・博物館が徒歩圏にまとまっているので、チェックイン前後の2〜3時間でも十分に回れるのがありがたいところです。
そして温泉好きには、やはり米沢八湯めぐり。小野川温泉や白布温泉といった歴史ある湯場が近隣にあり、湯の沢を宿泊拠点にした日帰り湯めぐりが楽しめます。がやのおすすめは、初日に上杉神社と博物館、二日目の朝にもう一湯、という欲張りすぎない組み立て。おふたり様専用の宿に泊まる旅ですから、予定を詰め込みすぎず、宿での時間をたっぷり残しておくのが正解です。
米沢のグルメ

米沢は、東北屈指のグルメどころです。筆頭はもちろん米沢牛。日本三大和牛に数えられる名牛で、時の宿すみれの夕食でその実力を体験できるのは前述のとおりですが、市街に出ればステーキから丼ものまで、さまざまな形で米沢牛に出会えます。
がやがもうひとつ推したいのが米沢ラーメンです。淡麗な醤油スープに細ちぢれ麺という組み合わせで、あっさりしているのにあとを引く、朝でも食べられそうな優しい一杯。宿の懐石でしっかり米沢牛を味わった翌日の昼に、市内でするりと一杯すするのが、米沢の食の正しい往復だと思っています。こってりとあっさり、両方の名物が揃っているのが米沢の強さです。
さらに、内陸の米沢らしい食文化として鯉料理も知られています。海から遠いこの土地で育まれた貴重なたんぱく源の文化で、いまも米沢の味覚として受け継がれています。そして忘れてはいけないのが地酒。東光をはじめとする米沢の酒は、米沢牛にも鯉にもよく合います。宿の夕食で一献、帰りに酒屋で一本。旅の余韻を家まで持ち帰れるのも、酒どころの旅の良さです。
四季と過ごし方

湯の沢温泉は、四季それぞれにはっきりと違う顔を見せてくれます。まず新緑の季節。木立の一軒宿ですから、宿全体がやわらかい緑に包まれます。「森と風の湯」のオープンデッキや「木漏れ日の湯」は、この季節がまさに本領。若葉を透かした光の中の湯浴みは、名前のとおりの体験です。
秋は紅葉。宿を包む木々が色づき、露天からの眺めが一年でいちばん華やぐ季節です。色づいた葉が湯面の向こうで揺れるのを眺めながらの「時と光の湯」は、写真を撮る手も忘れて見入ってしまうはず。米沢八湯めぐりや上杉神社の散策と組み合わせるにも、気候の良い秋は最適です。
そして冬。米沢は豪雪地ですから、宿は深い雪に包まれます。しかしこれが良いのです。雪が音を吸い、ただでさえ静かな宿がいっそう静まり返る。雪見の湯、雪明かりの夜、しんと静まった客室。冬の湯の沢は「静けさの完成形」だとがやは思います。秘湯系の八湯が休業する季節に、市街から15分でこの雪景色に浸れるのですから、むしろ冬こそ湯の沢の季節と言ってもいい。春の芽吹きを待つ残雪の頃も含めて、どの季節に訪ねても外れがありません。強いて言えば、初めてなら新緑か紅葉、二度目以降にあえて真冬、という順番をおすすめします。
冬のアクセス注意
冬の湯の沢温泉をおすすめした流れで、注意点も正直に書いておきます。米沢は全国有数の豪雪地帯。冬に車で訪ねるなら、スタッドレスタイヤを忘れずに用意してください。米沢八幡原ICから約10分、米沢駅から約15分という近さではありますが、降雪時は路面状況によって所要時間が普段より延びることを見込んでおきましょう。時間に余裕を持った行程が、冬の米沢旅の基本です。
雪道の運転に自信がない方には、迷わず新幹線+無料送迎の組み合わせをおすすめします。東京から米沢まで山形新幹線で約2時間15分、米沢駅からの無料送迎(要予約)に乗ってしまえば、雪道のハンドルを握ることなく宿に着けます。雪の季節こそ、この送迎の存在が効いてくるのです。
もうひとつ、冬の米沢の温泉事情として知っておきたいのが、姥湯・滑川・大平といった山奥の秘湯が冬期休業に入ること。冬に米沢で温泉に浸かりたいなら、通年で営業し、市街からのアクセスも確保しやすい湯の沢温泉は、もっとも現実的で、もっとも快適な選択肢のひとつになります。雪に閉ざされる季節に、ちゃんと開いていて、ちゃんと温かい。当たり前のようでいて、豪雪地ではそれ自体が価値なのです。
よくある質問(FAQ)
Q. 湯の沢温泉へのアクセスは?
A. JR米沢駅から車で約15分です。宿の無料送迎(要予約)が利用でき、お車なら東北中央道・米沢八幡原ICから約10分。東京からは山形新幹線で米沢駅まで約2時間15分です。
Q. 泉質やお湯の特徴は?
A. 単純温泉(低張性・中性・低温泉)で、無色透明のやわらかな湯です。源泉は約27℃で、加温のうえ各浴槽にかけ流しています。刺激が少なく湯あたりしにくいとされます。
Q. 日帰り入浴や昼食だけの利用はできますか?
A. 宿泊専門の一軒宿ですが、2日前までの予約で米沢牛ランチと温泉を楽しめる「日帰り会食プラン」(8,800円〜・税別/11:30〜14:30、ラストオーダー14:00・2名〜)を利用できます。温泉のみの立ち寄りはできません。最新の内容は宿へご確認ください。
Q. どんな宿ですか?
A. 「おふたり様専用」の全10室の宿で、客室にテレビと時計がありません。大浴場2つと貸切露天2つの計4つの湯処があります。
Q. 食事は?
A. 米沢牛をメインにした創作懐石で、ステーキ・すき焼き・しゃぶしゃぶから調理法を選べます。オープンキッチンの臨場感も魅力です。
Q. 冬でも行けますか?
A. 通年営業で、市街から近く冬でも訪ねやすい一湯です。お車の場合はスタッドレスタイヤを用意し、雪道が不安なら新幹線+無料送迎の組み合わせがおすすめです。
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テレビも時計もない全10室のおふたり様専用宿。人気の米沢牛会席プランは早めのご予約が安心です。
🌾 ふるさと納税で「湯の沢温泉のある山形県米沢市」を応援する
記事中で紹介した 米沢牛・米沢織・米沢の地酒・上杉ゆかりの城下町の特産品 など、山形県米沢市ならではの返礼品はふるさと納税で全国から取り寄せできます。米沢牛の創作懐石で知られる湯の沢温泉のある城下町を、税控除付きで応援できます。
まとめ
山形県米沢市の湯の沢温泉、一軒宿「時の宿すみれ」。最後に、この温泉の魅力を整理しておきます。
- 江戸の温泉番付『諸国温泉功能鑑』に載る古湯で、平安末期の猿の開湯伝説と関根金山の物語を持つ
- 泉質は単純温泉(低張性・中性・低温泉)。刺激が少なく湯あたりしにくいとされ、加温のうえ各浴槽に源泉かけ流し
- 「森と風の湯」「時と光の湯」の2つの大浴場と、「木漏れ日の湯」「せせらぎの湯」の2つの貸切露天、計4つの湯処
- おふたり様専用・全10室・テレビも時計もない、時間から自由になるための宿
- 夕食はステーキ・すき焼き・しゃぶしゃぶから選べる米沢牛の創作懐石。オープンキッチンの臨場感つき
- 米沢駅から車15分・要予約の無料送迎あり・東京から新幹線で約2時間15分と、驚くほど行きやすい
- 米沢八湯のなかで、冬でも訪ねやすい貴重な一湯。雪見の湯は静けさの完成形
秘湯の荒々しさとも、大型温泉街のにぎわいとも違う、「静かな時間そのもの」を湯とともに差し出してくれる温泉地。大切な人と、時計を忘れて過ごす一泊に、がやは自信を持って湯の沢温泉をおすすめします。米沢牛と、やわらかな湯と、雪の静けさが、きっと待っています。
▼ 江戸の温泉番付の全体(今の温泉名との対応・地図)はこちら。
温泉番付(江戸時代)を今の温泉名にして地図に表記!
