大涌谷温泉ガイド|箱根の白濁湯をつくる谷・黒たまごと造成温泉

箱根の宿で出会う、あの乳白色のにごり湯。その多くは、この大涌谷でつくられています。今も白い噴気を上げる火口跡で蒸気から温泉をつくり、パイプラインで強羅や仙石原の湯船へ送り届ける——入りに行く温泉地ではなく、湯のほうが山を下りて会いに来てくれる温泉地。それが大涌谷(おおわくだに)です。

だから大涌谷には、宿が立ち並ぶ温泉街も、泊まれる宿もありません。それでも「大涌谷温泉」の名は、箱根の宿の温泉分析書のあちこちに登場します。昼はロープウェイから噴気の谷を見下ろして黒たまごをひとつ、夜は「昼に見たあの谷の湯」に浸かる——それがこの谷の楽しみ方です。

3行でわかる大涌谷温泉

この記事では、造成温泉のしくみ・配湯の歴史・黒たまご・自然研究路の事前予約制をまとめ、がやが仙石原の宿で実際に入って温泉分析書で確かめた実測データもお伝えします。箱根全体については「箱根十七湯ガイド」もあわせてご覧ください。

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大涌谷温泉ガイド 箱根の白濁湯をつくる谷(造成温泉・強羅仙石原へ配湯・黒たまご・自然研究路予約制)
大涌谷は今も噴気を上げる箱根火山の中心です。(イメージ)

執筆:がや/2026年8月に仙石原の宿で大涌谷温泉の湯に入浴し、館内掲示の温泉分析書を実見しています

出張と趣味で全国の温泉宿に通算200泊以上。江戸期温泉番付の現物(弘化2年改訂版『諸國温泉鑑』)を所有し、番付に載る温泉地を一つずつ訪ねて歴史的視点で記事にしています。江戸の温泉番付『諸国温泉鑑』を今の温泉名にして地図に表記した記事もあわせてご覧ください。

📌 この記事で分かること

  • 大涌谷が「泊まる温泉地」ではなく箱根の白濁湯の供給源である理由
  • 噴気と地下水から湯をつくる造成温泉のしくみ
  • 元文元年(1736年)の仙石原への引湯から続く「配湯」の歴史と渋沢栄一の関わり
  • がやが実際に入った大涌谷の湯の実測データ(酸性・pH2.1)と、入れる宿の探し方
  • 黒たまごの正体と、自然研究路の事前予約制(1日4回・各回30名・2026年9月時点)

📑 目次

  1. 大涌谷温泉とは ── 泊まれないのに、箱根中の湯船にいる
  2. 「大地獄」と呼ばれた谷 ── 約3000年前の爆裂火口跡
  3. 造成温泉のしくみ ── 噴気と地下水から湯をつくる
  4. 配湯の歴史 ── 1736年の仙石原への引湯から渋沢栄一まで
  5. がやが入った大涌谷の湯 ── 実測pH2.1の酸性泉
  6. どこで入れるか ── 大涌谷の湯を引く宿の探し方
  7. 黒たまご ── 1個で7年、寿命が延びる?
  8. 自然研究路は事前予約制 ── 1日4回・各回30名
  9. アクセスと基本情報 ── ロープウェイで空から入る谷
  10. 四季の楽しみ方
  11. 半日モデルコース ── ゴールデンコースの頂点として
  12. よくある質問
  13. まとめ ── 箱根の湯の「源」を見に行く

大涌谷温泉とは ── 泊まれないのに、箱根中の湯船にいる

大涌谷温泉は、神奈川県足柄下郡箱根町の山上、今も白い噴煙を上げ続ける大涌谷でつくられている温泉です。旅館が軒を連ねる温泉街はなく、谷の中に泊まれる宿もありません。あるのは噴気地帯と、ロープウェイの駅と、黒たまごの売店です。

ではどこでこの湯に入るのか。答えは「山を下りた先の宿」です。箱根町観光協会によれば、仙石原温泉は「大涌谷(硫黄泉=白濁湯)と姥子(透明湯)の引湯を集中管理して各旅館・ホテルに供給」する方式をとっています。強羅温泉もまた「早雲山や大涌谷から湯を引いてくること」で始まった温泉地です。つまり、強羅の組合加盟35軒・仙石原の組合加盟32軒という大所帯の白濁湯の多くをさかのぼると、この谷に行き着きます

箱根には「箱根十七湯」という公式の区分がありますが、大涌谷温泉はそこに入っていません。江戸の温泉番付『諸国温泉功能鑑』にも載っていません。十七湯に大涌谷・湖尻・早雲山の3つを加えた通称「箱根二十湯」の番外として数えられる存在です。それでも、箱根の湯めぐりを語るうえで大涌谷を外せないのは、ここが「湯をつくる側」の温泉地だからです。

当サイトではこれまで、仙石原温泉=引湯で生まれた温泉地強羅温泉=引湯から自前の源泉へ転じた温泉地と、「湯を受け取る側」の物語を書いてきました。本記事はその完結編、「湯を送る側」の物語です。

「大地獄」と呼ばれた谷 ── 約3000年前の爆裂火口跡

大涌谷の噴気地帯の全景。白い噴煙が立ち上る爆裂火口跡
白い噴煙を上げ続ける大涌谷の噴気地帯。(出典:Wikimedia Commons/Joli Rumi氏撮影・CC BY-SA 4.0・サイズを縮小して使用)

箱根ジオパークは大涌谷を「箱根火山の中心、噴火による爆裂火口跡」と説明しています。「最新の活動は約3000年前で、北側が大きく崩壊し、馬蹄形カルデラを形成」。谷では今も「噴気と硫化水素の匂いに火山の息吹を感じながら火山を観察できる」(同ジオパーク)状態が続いています。

江戸時代、この谷は「大地獄」と呼ばれていました。草木の生えない裸の斜面から蒸気が吹き上がる光景は、当時の人の目にまさに地獄と映ったのでしょう。現在の名になったのは明治に入ってからです。大涌谷くろたまご館の公式サイトによれば、1873年(明治6年)、明治天皇・皇后のご訪問を前に、「大地獄」から現在の「大涌谷」に改称されました。天皇をお迎えするのに「地獄」では具合が悪い——名前の変遷そのものが、この谷の存在感を物語っています。

なお、荒涼とした景色から「死の谷」のように思われがちですが、実際には大涌谷は箱根観光の大動脈の真上にあります。箱根ロープウェイが谷の上空を横切り、大涌谷駅周辺には黒たまごの売店やジオミュージアムが揃います。「地獄」は今、箱根でいちばん賑わう展望台のひとつです。

造成温泉のしくみ ── 噴気と地下水から湯をつくる

大涌谷温泉の最大の特徴は、湯が「湧く」のではなく「つくられる」ことです。

一般の温泉は、地中から湧き出した熱水をそのまま、あるいは加水・加温して使います。これに対して大涌谷では、火山の噴気(高温の蒸気・火山ガス)に水を触れさせて温泉をつくります。こうしてつくられる温泉は「造成温泉」と呼ばれ、大涌谷はその代表例として知られています。がやが仙石原の宿で実見した温泉分析書にも、源泉名の欄にはっきりと「蒸気造成混合泉」という言葉がありました。

蒸気に含まれる硫黄分などが溶け込むため、できあがる湯は白濁した酸性の硫黄泉系になります。箱根町観光協会も大涌谷の湯を「硫黄泉=白濁湯」と紹介しています。箱根で「乳白色のにごり湯」の写真を見たら、その多くは大涌谷生まれの湯だと考えてよいでしょう。

つくられた湯は、山の斜面を下るパイプラインで強羅・仙石原など各地の宿へ配湯されます。この供給を担う専門の会社が存在することは、黒たまごを製造販売する奥箱根観光株式会社が「1951年に箱根温泉供給株式会社より設立・分社」された、という同社公式サイトの記載からもわかります。温泉をつくる会社から、黒たまごの会社が分かれて生まれた——大涌谷では、湯もたまごも同じ噴気の恵みなのです。

⚠ 大涌谷は今も活動を続けている火山です

2015年には火山活動の高まりで谷への立ち入りが長期規制されました。現在も自然研究路は事前予約制(詳細は後述)で、箱根ロープウェイも火山ガスの状況によって運休することがあります(箱根ナビ公式)。訪問前に運行状況と規制情報を必ずご確認ください。

配湯の歴史 ── 1736年の仙石原への引湯から渋沢栄一まで

「湯をつくって配る」というと近代的な話に聞こえますが、大涌谷から湯を引く営みは、実は江戸時代から続いています。

箱根町観光協会は仙石原温泉について「温泉利用は元文元年(1736)、大涌谷の引湯に始まります」と明記しています。今から約290年前、江戸の人々は既にこの谷から湯を引き、山ひとつ向こうの仙石原まで運んでいました。仙石原温泉ガイドで「引湯で生まれた温泉地」と書いた、その引き元こそが大涌谷です。

近代に入ると、配湯は一気にスケールアップします。くろたまご館の公式サイトは、この谷の歴史に意外な人物の名を挙げています——渋沢栄一です。同サイトは渋沢を「大涌谷から大規模な温泉供給網の構築に尽力し、温泉の供給を実現し、仙石原高原リゾートの基礎をつくりあげた先駆者」と紹介しています。「日本資本主義の父」は、箱根では「白濁湯のインフラの父」でもあったわけです。

そして昭和に入り、噴気を利用した温泉造成と供給は会社組織による事業として確立していきます。前述の箱根温泉供給株式会社の系譜です。江戸の引湯 → 明治・大正の供給網 → 昭和の造成温泉事業。約290年にわたって、この谷は箱根の湯の「蛇口」であり続けてきました。

温泉地 大涌谷との関係 その後の歩み
仙石原温泉 元文元年(1736年)から大涌谷の引湯 今も大涌谷+姥子の引湯を集中管理して供給
強羅温泉 明治期に早雲山・大涌谷方面からの引湯で開湯 1952年に自前の源泉掘削に成功・源泉30へ
姥子温泉 大涌谷の西側に湧く古湯(透明湯) 大涌谷と並ぶもう一つの供給元

がやが入った大涌谷の湯 ── 実測pH2.1の酸性泉

2026年8月、がやは仙石原の宿「品の木一の湯」に泊まり、大涌谷温泉の湯に実際に入ってきました。大浴場の露天風呂が大涌谷からの引湯で、館内に掲示された温泉分析書を確かめると、源泉は「大涌谷温泉の蒸気造成混合泉」、液性は酸性、pHは2.1とありました。

品の木一の湯 大浴場に掲示された温泉分析書(大涌谷温泉と大平台温泉の2枚)
大浴場に掲示された2枚の温泉分析書。大涌谷温泉(蒸気造成混合泉)と大平台温泉が並びます(がや撮影)

pH2.1というのは、かなり強い酸性です。湯は乳白色に濁り、浸かると肌にピリッとくる、酸性泉らしいはっきりした感覚があります。いわゆる「箱根の白濁湯」のイメージそのものの湯です。

面白かったのは、同じ宿の内湯がまったく別の湯だったことです。内湯は大平台温泉からの引湯で、こちらはアルカリ性単純温泉・pH9.18。強酸性の露天と強アルカリ性の内湯、pHにして7以上も離れた2つの湯を、ひとつの宿ではしごできる。これは「よその谷から湯を引いてくる」箱根の配湯文化があってこその体験です。詳しくは品の木一の湯の宿泊記に書いています。

なお酸性の強い湯なので、長湯を避けて上がり湯(真湯やアルカリ泉)で流すのが定番の入り方です。肌の弱い方は特に、かけ湯で様子を見てから入ることをおすすめします。

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がやが大涌谷の湯に入った宿

仙石原「品の木一の湯」。露天が大涌谷温泉(酸性・pH2.1の白濁湯)、内湯が大平台温泉(アルカリ性・pH9.18)と、対照的な2源泉をはしごできます。

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どこで入れるか ── 大涌谷の湯を引く宿の探し方

大涌谷の谷内では入浴できないので、「大涌谷の湯に入る」=「大涌谷から引湯している宿を選ぶ」ことになります。探し方のコツは3つです。

① エリアで絞る。供給先の中心は仙石原強羅です。仙石原は組合加盟32軒、強羅は35軒と宿の層が厚く、高級旅館からリーズナブルな宿まで幅があります。大涌谷から半径3kmほどの円を描くと、この2エリアと姥子がすっぽり収まります。

② 泉質表示で「にごり湯」「硫黄」を確かめる。同じエリアでも宿によって引いている源泉が違います。強羅は白濁の宿と無色透明の宿が混在しますし、仙石原も宿ごとに引湯の組み合わせが異なります。予約サイトの泉質欄や宿公式の温泉ページで「大涌谷」「にごり湯」「白濁」の文字を確かめるのが確実です。

③ 迷ったら分析書。チェックイン後、脱衣所や廊下に掲示されている温泉分析書の「源泉名」を見れば、その湯がどこから来たか一目でわかります。「大涌谷」の文字を見つけたら、いま浸かっている湯は、あの噴煙の谷から山を下ってきた湯です。

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黒たまご ── 1個で7年、寿命が延びる?

大涌谷名物の黒たまご。殻全体が真っ黒で、割ると中は普通のゆで卵
真っ黒な殻が目印の黒たまご。割ると中は普通のゆで卵です。(出典:Wikimedia Commons/Mkill氏撮影・CC BY-SA 3.0・サイズを縮小して使用)

大涌谷といえば黒たまご。殻が真っ黒なゆで卵で、大涌谷観光の代名詞です。製造販売元の大涌谷くろたまご館(運営:奥箱根観光株式会社)は、黒くなる理由をこう説明しています——生卵を温泉池で加熱すると「気孔の多い殻に温泉池の成分が付着し黒色となり、黒い殻のゆで玉子ができあがります」。黒いのは殻だけで、むけば中は普通の白いゆで卵。ほんのり塩味と硫黄の香りがついて、これがなかなかおいしいのです。

そして有名な言い伝えが、「1個食べれば7年寿命が延びると言われる」(くろたまご館公式)。あくまで言い伝えですが、火山の谷で地獄の釜ならぬ温泉池からつくられる卵に、昔の人が延命長寿の願いを重ねたのはよくわかります。販売は4個入り500円(税込・2026年9月時点)。くろたまSHOPの営業は9:00〜16:15、黒たまごの販売は9:00〜16:20で、季節により変動し売り切れることもあります。

温泉供給会社から分社した奥箱根観光がつくるこの黒たまごは、いわば温泉の「兄弟」です。大涌谷の噴気は、湯になって宿へ下り、卵を黒く染めて売店に並びます。

自然研究路は事前予約制 ── 1日4回・各回30名

大涌谷の噴気地帯に間近に迫れる遊歩道が「大涌谷自然研究路」です。ただし、ふらっと行って歩けるコースではありません。ここは必ず事前に押さえておいてください。

自然研究路は2015年5月の火山活動の高まりで立入禁止となり、箱根町によれば2022年3月28日に約7年ぶりに再開されました。再開後は事前予約制・1日4回・各回定員30名・監視員2名の引率という運用です(箱根町公式)。

予約・参加の要領は次の通りです(2026年9月時点・箱根町観光協会の予約ページによる)。

  • 開催:1日4回(10時〜/11時半〜/13時〜/14時半〜)・所要約40分
  • 料金:1人800円。現金不可(クレジットカード・交通系電子マネー等のキャッシュレス決済のみ)
  • 予約:ウェブサイトからの事前予約が必要
  • 当日:大涌谷ジオミュージアム内「大涌谷インフォメーションセンター」に開始20分前までに集合。ヘルメット着用・監視員2名の指示に従っての団体行動
  • 注意:ガイダンスは日本語のみ

制度や時間・料金は火山活動や運用見直しで変わる可能性があります。訪問前に観光協会の予約ページで最新情報をご確認ください。なお予約が取れなくても、大涌谷駅周辺の展望エリアや黒たまご・ジオミュージアムは楽しめます。

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大涌谷の湯が届くエリアの宿を探す

大涌谷から半径3km圏(強羅・仙石原・姥子)の宿を地図から一覧できます。白濁のにごり湯を求めるなら、泉質表示もあわせてご確認ください。

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アクセスと基本情報 ── ロープウェイで空から入る谷

大涌谷へのアクセスは、箱根ロープウェイが主役です。路線は早雲山 → 大涌谷 → 姥子 → 桃源台の4駅。各区間の所要は約10分、約1分間隔で次々とゴンドラが来るので、時刻表を気にする必要はほぼありません。谷の上空をゆっくり横切りながら、眼下に噴気地帯を見下ろす数分間は、箱根でも屈指の絶景体験です。

大涌谷へのアクセス

STEP1 各出発地から箱根湯本駅へ東京(新宿)ロマンスカー 約1時間30分新大阪新幹線+小田原乗換 約3時間30分名古屋新幹線+小田原乗換 約2時間30分STEP2 箱根湯本駅から乗り継いで大涌谷へ箱根湯本駅登山電車→強羅→ケーブルカー→早雲山早雲山駅箱根ロープウェイ 1駅・約10分大涌谷※芦ノ湖側からは桃源台駅からロープウェイ2駅・約20分(各区間約10分)

強羅・早雲山経由のルートは強羅温泉ガイドで詳しく書いた通り、登山電車のスイッチバックとケーブルカーを乗り継ぐ「箱根ゴールデンコース」の王道です。芦ノ湖側からは桃源台駅からロープウェイで姥子を経て約20分。どちらから来ても、大涌谷はコースのちょうど頂点にあたります。車で上がることもできますが、行楽期は混み合います。

ひとつだけ、天候・火山条件の注意を。箱根ナビによればロープウェイの「ガス濃度上昇による運休は複数計測の値により判断」され、また「火山ガス濃度と噴火警戒レベルに直接の関係はございません」とのこと。つまり警戒レベルが平常でも、ガスの流れ次第で運休はありえます。当日の運行情報を確認してから山に上がると安心です。

基本情報とアクセスマップ

温泉地名 大涌谷温泉(おおわくだにおんせん)
所在地 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原
立地 箱根火山の中心部・約3000年前の爆裂火口跡(箱根ジオパーク)
湯の特徴 噴気と地下水からつくる造成温泉。白濁の硫黄泉系・酸性(がや実見の分析書例:蒸気造成混合泉・pH2.1)
供給先 強羅・仙石原など箱根各地の宿(姥子と並ぶ供給元)
引湯の始まり 元文元年(1736年)仙石原への引湯(箱根町観光協会)
宿泊・入浴 谷内に温泉街・宿はなし。入浴は引湯先の宿で(強羅35軒・仙石原32軒ほか)
名物 黒たまご 4個入り500円(税込・2026年9月時点)
自然研究路 事前予約制・1日4回・各回30名・800円(2026年9月時点)
最寄駅 箱根ロープウェイ 大涌谷駅(早雲山から1駅・桃源台から2駅)

四季の楽しみ方

春(3〜5月):山の上は春の訪れが遅く、空気の澄んだ日が多い季節です。麓の桜と山上の冬景色の名残を、ロープウェイ1本で行き来できます。

夏(6〜8月):麓の街より明らかに涼しく、噴煙と夏空のコントラストが鮮やかです。夕立のあとに雲が谷を流れる景色は夏ならでは。

秋(9〜11月):ロープウェイからの紅葉と、眼下に広がる仙石原のすすき草原(見頃9月下旬〜11月上旬)を一度に楽しめる、大涌谷のベストシーズンです。行楽期は駐車場・ロープウェイとも混み合います。

冬(12〜2月):空気が最も澄み、冠雪の富士山を望める確率が高い季節です。雪の白・噴煙の白・富士の白が重なる日は圧巻。防寒だけは万全に。

半日モデルコース ── ゴールデンコースの頂点として

午前箱根湯本から登山電車で強羅へ。ケーブルカーとロープウェイを乗り継いで大涌谷駅に到着したら、まず展望エリアから噴気地帯と(晴れていれば)富士山を一望します。事前予約してあれば自然研究路の回へ(開始20分前集合を忘れずに)。

:黒たまごを1個──これで7年、と言い伝えに乗っかるのが大涌谷の作法です。ジオミュージアムで谷の成り立ちを見てから、ロープウェイで桃源台へ下り、芦ノ湖の海賊船へ。ここまでで箱根ゴールデンコースはほぼ制覇です。

夕方〜夜:宿は強羅か仙石原へ。昼に眺めた「あの谷でつくられた湯」に、今度は自分が浸かる番です。昼に見た白い噴気と、夜に浸かる白い湯が、頭の中でひとつにつながります。

宿泊日をこれから決めるなら、予約可能ホテル数カレンダーで箱根全体の空き具合(=安い日の目安)を毎日更新しています。

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このコースの締めに泊まる宿を探す

大涌谷を見た日の夜は、その湯が届く強羅・仙石原の宿へ。にごり湯表示の宿を選べば「昼に見た谷の湯」に浸かれます。

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よくある質問

Q. 大涌谷温泉に泊まれますか?

谷内に宿が立ち並ぶ温泉街はなく、泊まることはできません。大涌谷の湯は強羅・仙石原など周辺の温泉地へ供給されているので、「大涌谷の湯に入って泊まる」なら引湯先の宿を選びます。

Q. 大涌谷の湯にはどこで入れますか?

供給先の中心は仙石原と強羅です。宿ごとに引いている源泉が違うため、予約サイトの泉質欄や宿公式で「大涌谷」「にごり湯」の表示を確認するのが確実です。がやは仙石原の品の木一の湯で大涌谷温泉(酸性・pH2.1)に入りました。

Q. 黒たまごはなぜ黒いのですか?

製造元のくろたまご館によれば、生卵を温泉池で加熱すると「気孔の多い殻に温泉池の成分が付着し黒色となり」ます。黒いのは殻だけで、中は普通のゆで卵です。

Q. 「寿命が7年延びる」は本当ですか?

くろたまご館公式も「1個食べれば7年寿命が延びると言われる」という言い伝えとして紹介しています。延命長寿の縁起物として楽しむのが正解です。

Q. 予約なしで大涌谷を楽しめますか?

楽しめます。予約が必要なのは噴気地帯に近づく「自然研究路」(1日4回・各回30名・800円・2026年9月時点)だけで、大涌谷駅周辺の展望エリア・黒たまご・ジオミュージアムは予約不要です。

Q. ロープウェイ以外で行けますか?

車でも大涌谷へ上がれます。ただし行楽期は渋滞しやすく、火山ガスの状況によっては通行が規制される場合もあります。公共交通ならロープウェイが基本です。

Q. 火山は大丈夫なのですか?

大涌谷は今も活動する火山で、2015年には長期の立入規制がありました。現在は監視のもと観光が再開されていますが、ロープウェイは火山ガスの状況で運休することがあります(箱根ナビ公式)。訪問前に当日の運行・規制情報の確認をおすすめします。

Q. 大涌谷温泉は箱根十七湯に入っていますか?

入っていません。十七湯に大涌谷・湖尻・早雲山を加えた通称「箱根二十湯」の番外にあたります。江戸の温泉番付にも登載がありません。詳しくは箱根十七湯ガイドをご覧ください。

まとめ ── 箱根の湯の「源」を見に行く

大涌谷温泉は、泊まれない・温泉街もない、箱根でも指折りの変わり種です。けれども視点を変えれば、約290年前から箱根の湯を「つくって配って」きた、箱根の白濁湯の源でもあります。

元文元年(1736年)に仙石原へ湯を送り始め、渋沢栄一が供給網を広げ、いまは造成温泉が強羅や仙石原の湯船を満たす。仙石原強羅の「引いてきた湯」は、すべてこの谷から始まっていました。

だから大涌谷のおすすめの楽しみ方は、こうです。昼、ロープウェイから噴気の谷を見下ろす。夜、その谷でつくられた白濁の湯に浸かる。景色と湯が一本の線でつながったとき、箱根の温泉は倍おいしくなります。

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大涌谷の湯に浸かりに行く

白濁のにごり湯は強羅・仙石原の宿で。紅葉とすすきの季節は特に早めの予約がおすすめです。

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関連記事

参考・出典

  • 箱根町観光協会「仙石原温泉」(元文元年の大涌谷引湯・供給方式)/大涌谷引率入場オンライン予約ページ
  • 箱根ジオパーク「湖尻〜大涌谷コース」(爆裂火口跡・約3000年前の活動)
  • 大涌谷くろたまご館 公式サイト(黒たまご・「大地獄」からの改称・渋沢栄一・奥箱根観光の沿革)
  • 箱根町「大涌谷自然研究路の再開」(2015年規制・2022年3月28日再開・予約制の運用)
  • 箱根ナビ「箱根ロープウェイ」(路線・所要時間・運行間隔・火山ガスによる運休の考え方)
  • がやによる現地確認(仙石原「品の木一の湯」宿泊・大涌谷温泉の入浴と温泉分析書の実見)

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